序章4 さよなら。現世
「さて、何から話そうかの~。
どこから聞きたいかの・・・?
お主が死んだところで良いかの?」
「・・・・
いや、初めから話せよ。
というか、初めからじゃなきゃあんたの都合の良い事しか話さないだろ。
お前、なんかやっただろ?」
「(・・・この者には、儂がはぐらかそうとして無理じゃな・・・。
ていうか、神様に向かってお前とまで言うとは・・・。
一応、儂が神でこの世界で一番偉いんじゃがな・・・。)
言いにくい話なんじゃが、昨日別の世界の戦神が来て、ちょっと酒飲んでふざけてたんじゃ。」
「ほう・・・。で?」
「(う・・・。儂、神なのにこの娘は、なんて冷たい目で見てるんじゃ・・・。)
それでな・・・。
気づいたら、お前さんの命が尽きたのじゃ・・・。」
「はぁ?
ふざけんなよ。てめえ等がふざけて私は死んだのか?
てか、神だろ?
そんな事して良いと思ってんのか?」
「(う・・・気持ちは分かる・・・。
分かるが、一応は儂、神様なのに・・・。
怒られるとかまだ若い時に、色々世界をイジッて遊んでた時ぐらいなのになぁ・・・)
・・・それは悪い事をしたと思って居る。
だから、お前さんが望む来世とかも用意する。
どこぞの王族の姫で、絶世の美女とか美男子で強くて、頭の切れる王子で将来安泰とか・・・。
そして、他の世界・・・と言っても、一緒に飲んでいた戦神の世界へ行くことが出来る。
所謂、異世界転生じゃな?
(あの後、戦神トコロの主神から連絡が来て、大変じゃったな・・・。)
この世界で、儂が出来うる限りの幸を与えて生まれ変わるか、それとも別の世界での生まれ変わりか。
お主にはその二つの選択権があるんじゃ。
さて、お主は・・・。」
「異世界転生で!」
自称神様の話に割り込み、その上前のめりになりそうになりながら、はっきりとした口調で私は言い切った。
「・・・(まだ話が終わってなかったのじゃかな・・・。)
じゃが、あちらの世界はこちらの世界とは生態系やらモノの在り方が違うんじゃ。
こちらの世界では機械などが発達したが、あちらの世界には存在すらない。
剣や魔法、そういった所謂RPGのような世界じゃ。
魔獣やら、魔族などと言われる争いの世界じゃよ?
こっちの世界はそう言った争いが大なり小なりあるが・・・。」
「!!
(RPGじゃん。
魔法!魔法とかめっちゃ使ってみたい。)
それ!それ、最高じゃん!
異世界に!
早く異世界に行かせてください!」
「!!
(こやつ、さっきまでため口だったのにな・・・。)
わざわざ、危険の多い世界に行くよりも、こっちの平和で成功が約束されてる人生の方が良いのではないかの?」
「(・・・こっちの世界って・・・神様(自称)がこの人だよな・・・。
なんて言うか・・・。
てか、ゲームとかめっちゃ好きな私にとって最高じゃん!
だって、RPGだ。RPG!)
せ、成功の約束されている人生より、自分を鍛えながら世界を切り開いて、よりより自分へ成長したいです!」
「(・・・こやつ、丁寧なしゃべり方とか出来るんじゃの・・・。
ていうか、儂が心を読める事も知らないで・・・。
色々、バカにされておらんかのぅ・・・。
でも、一応こやつは、現世でも悪い行いもしてないし、むしろちょいちょい善行はしておるし、向こうに行ったとしても迷惑はかけんじゃろう。)
分かった。
そう言うことで、向こうの神と話を付けてくるから、しばしここで待っておれ。
そうじゃの・・・。
これの砂がすべて落ち切るまでには話がついておるじゃろうから。
儂は、少し別の場所で話してくるから。」
自称神様はコトリと砂時計を机に置き、立って・・・姿を消した。
(!!
あれ?神(自称)が消えた・・・。
これで夢オチとか・・・リアル過ぎるなぁ・・・。
待ってる間に目が覚めて、現実世界に戻るとか・・・ないよな・・・。)
などと、考えているうちに、神様(自称)が再び姿を現した。
「向こうの神と話を付けて来たわい。
すぐに向こうの世界に行けるが、本当にこれで良いんじゃな?」
「はい!大丈夫です。
今までありがとうございました。」
一応、それっぽい事を言ってお辞儀をした。