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不注意で、生まれ変わりました。  作者: 水無月ツクナ
第二章 選択した先に?
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2-11 王都での騒動と話し合い



 ユーリが旅に出ると言った翌日。

 王都では一部で騒ぎが起こったのだ。


「オズワードさま。

 サラレイン領から急ぎの手紙が届きました。」


 一人の若い騎士がオズワードに駆け寄り、羊皮紙を手渡した。


「なにんだ。私は朝から忙しいのだ。

 大した用事で・・・。

 これは、本当なのか・・・。」


 オズワードは若い騎士から受け取り、中を確認すると急いて中庭に出ると馬の世話をしていた騎士から手綱を奪い、そのまま馬に乗ってどこかに向かったのだ。

 しばらくその様子を見ていたオズワードの部下が「オズワードさま~。」と大声を出していた。



 オズワードはフィリウスたちが泊っている宿に向かうと、馬は宿の前を掃除している少年に預け、フィリウスの部屋をフロントで聞き、そのまま部屋に走っていた。


「フィリウス、入るぞ!」


「どうしたのですか?兄上?

 ノックもせずにいきなり入ってくるとは・・・。」


「そんな事よりこの手紙を見ろ!」


 オズワードは息を切らしながら、フィリウスに羊皮紙を渡し近くにあったコップの水を飲んだ。


「な・・・なんだって・・・。」


「どうしたの?そんな大声出して・・。」

「どうした?エドワードが熱でも出したか?」


 フィリウスはオズワードに押し付けられた羊皮紙を見ると大声を出し、それに驚いたセシルとレオンが扉から顔を出していた。

 そして、宿の外から兵士がオズワードを探している声が聞こえる。


 フィリウスがセシルとレオンに見えるように羊皮紙を片手に持って頭を抱えていた。

 その羊皮紙には「ユーリが旅立つ。」とだけ書かれ、二人分の叫び声が聞こえたのだ。



 レオンは何やら納得したように頷き、セシルは声を失っていた。

 オズワードはフィリウスに問い詰めていたが、後から来た騎士たちに「早く戻って、仕事をしてください。」と泣きつかれていた。


 フィリウスは苛立ち、「あぁ!」と叫ぶ。

「兄上。この件については私にお任せください。

 レオン、急いで荷物をまとめろ。

 セシル、移動魔法が使える知り合いはいるか?」


「任せろ。」

「いるわ。腕のいい子たちが!」

「し、しかし・・・。」


「兄上は早く王宮に戻って仕事をして下さい。

 貴方がここにいては邪魔でしかない!」


 数人の騎士がオズワードを王宮に戻そうと、オズワードを囲んで話をしている。

 オズワードは弟にそこまで言われ、挙句の果てに出て行けと言わんばかりに片手で追っ払われたのだ。

 オズワードはフィリウスの態度に驚いている間に、囲まれている騎士たちに運び出され、仕事に戻らされたのだった。


 レオンはオズワードの扱われ方に可哀想だと思いつつ、急いで荷物をまとめていた。


 フィリウスとレオンは屋敷から馬を二日走らせたところにある町にある移動専門店で王都まで送ってもらったのだが、帰りはセシルの知り合いの魔法使いに頼み、屋敷に戻って来たのだ。



 王都では、あの『ゼノンの悪魔』が暴れたのだとか、「とうとうおかしくなったのでは」と噂があちらこちらで飛び交ってるとかないとか・・・。

 だが、オズワードが今まで一度足りとも許さなかった専属の部下を五人ほど指名して、育成を始めたのはそう遅くない未来の話だった。




 フィリウスとセシル、レオンが屋敷に戻ると否や、ユーリを探し回ったのだ。


「「「ユーリちゃん(嬢ちゃん)、これはどういう事??」」」


 三人はユーリを見つけると三人でユーリを囲い込み、問い詰めたのだ。

 ユーリは冷や汗を隠せず、レオンの肩に手をかけ飛び越えた。

 そのまま、急いでサムの後ろに隠れたのだ。


「ユーリちゃん!!」

「何かあったのかい?」

「訳を話して!」


 フィリウスとセシルがそれでも諦めず、息の合った言葉をかけた。

 サムはユーリの耳元で「諦めなさい。」と呟き、二人の前にユーリを引き出すのだった。


 そんな様子を二階の窓から見ていたディオンは窓を開けて、声をかけた。

「そんな怖い顔で子供に迫るとはユーリちゃんも言いたい事があっても言えないのではないのかのぉ。

 さぁ、みんなで久しぶりのお茶でも飲まないかい?」


 ディオンの一声でその場は収まったのが、談話室ではフィリウスがユーリを睨み付け続けている。

ユーリはセシルと同じソファに座らせられ、肩を小さくしていた。


「(う・・・・。これは・・・かなり怖い・・・。

 何気にセシルさんが私の手を握って話してくれないし、フィリウスさんの目が・・・。)

 お・・・お帰りなさい。

 フィルさん。セシルさん。レオンさん。」


「あぁ。」

「えぇ。」

「ただいま。」


 フィリウスとセシルは様子を変えない。

 レオンは片手を上げて挨拶を返したのだ。


 応接室では重い沈黙が流れていた。

 一人、エドワードはアクアの体を撫でながら話しかけていた。


「あ、そうだ。フィルさん、セシルさん。

 アクアがいつの間にか主人を私からエドワード君に変えてしまったんですよ。」


 ユーリは自らフィリウスとセシル、レオンにその話をした。

 それを聞いてたサムとシンはユーリを気遣う素振りを見せた。


「え・・・。アクアがまさか、鞍替えするとは・・・。」

「うちのエドワードが・・・。」


 フィリウスもセシルも驚きを隠せない表情をした。

 レオンは「ヒュー」と口笛を一つして感心したのだ。


「ユーリ嬢ちゃん、大丈夫なのか?」


「うん。最初はビックリして泣いちゃったけどね。

 サムさんが美味しいミルクティーを入れてくれて説明してくれたから、一晩寝たら落ち着いたよ。

 アクア、おいで。」


 アクアは、エドワードのそばから離れて、ユーリに膝に乗って来た。


「アクアとは契約が切れちゃったけど、こうやって前と同じように接してくれるし、エドワード君ならアクアに酷い事したりしないから大丈夫。

 この屋敷の中庭にはアクアの大好きなクローバーがいっぱいあるしね。」


 ユーリは膝に乗ったアクアを撫でながら話したら、アクアはユーリの手に一度すり寄ってエドワードのそばに戻ったのだ。


「ユーリちゃんも成長したのぉ。

 さて、そろそろ本題に入ろうかの?


 ユーリちゃんは一人前になりたいから旅立ちたいと言っておる。

 フィリウスたちもユーリちゃんを笑顔で送り出してあげられないかの?」


「駄目です。お義父さま。

 せっかく仲良くなれたのに・・・。

 これからも色々ドレスなど着せて、社交界とか王都に買い物に行ったりしたのです。」


「そうです。父上。

 それに、ユーリちゃんはまだ13、数えで14歳ですよ。

 まだこんな幼気な女の子を旅立たせるなんて、心配です。」


「まぁまぁ、フィル。

 そんなに心配する事ないと思うぞ。

 ユーリ嬢ちゃん、見た目はこんなんだが、ゴブリン相手でも引き落とらない動きで、傷一つも追わなかったんだ。

 ユーリ譲ちゃんも自分の実力が分からないバカじゃないんだ。

 無理はしないと思うぞ。」


「そうじゃ。レオンの言う通りじゃ、フィリウス。

 ユーリちゃんは賢く、儂らが思っている以上に子供じゃないじゃぞ。


 セシルさんも、フィリウス。

 そして、サムもじゃ。

 ユーリちゃんの人生じゃ、ましては貴族でも家柄にも捕らわれておらん。

 この子の幸せ、生き方はこの子自身に選ばせてやらないか?」




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