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不注意で、生まれ変わりました。  作者: 水無月ツクナ
第二章 選択した先に?
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2-10 決意と鞍替え



 その日の夜、エドワードが眠ったあとユーリはディオンの部屋に行った。

 昨晩は、ディオンが気を利かせて人払いをしていたが、さすがに二日連続ではサムが怪しがったので、エドワードにはヘレナとシンがそばにいた。

 ディオンの部屋にはアンディーとサムが部屋にいた。


「ユーリちゃん。

 昨日の話の事じゃな?」


 ユーリは小さく頷いた。


 「私、旅に出ます。」


「な!

 なんで、旅になんか・・・。


 と言いますが、ディオンさまも父上もご存知だったのですか?」


 サムは驚いて大きな声で言った。

 アンディーはそんな息子を咳払いで諫め、ディオンは目を伏せた。


「サムや。ユーリちゃんはフィリウスが無理やり屋敷に連れて来て、そのままこの屋敷で暮らしていたんだ。

 レオンとユーリちゃんがもし、出会わなかったらあのまま森で暮らしていたかもしれんし、近くの村の人々と仲良くなって暮らしていたかもしれん。


 儂らはユーリちゃんのおかげで楽しい日々を送れたのじゃろ。

 もし、ユーリちゃんがいなければ、儂やシン、そしてサムはこの領内を回ることもなかったじゃろうな。


 儂たちはユーリちゃんのおかげで色んな経験が出来て、サムやシンは一皮むけて成長した。


 じゃがな、ユーリちゃんにとってはどうじゃ?

 ずっと守られて、儂らがユーリちゃんの成長の妨げになっておったんじゃないのか・・・。

 クロードとライを久しぶりに会って、儂はそう思ったのじゃ。」


 ディオンは少しだけ寂しそうにサムに言い聞かせた。


「・・・ディオンさまの言いたいことは・・・分かりました。」


 サムは何か言いたそうだが、言葉を飲んだ。


「分かりましたが、ユーリさん。

 出発はまだ先の事ですよね・・・?」


「・・・え?

 明日・・・いや、準備もあるから三日後ぐらいには出て行こうかな・・とか思ってましたが・・・?」


 ディオンとアンディーの少し驚いたが、サムは驚きを通り越して怒った。


「三日後!!

 いくらなんでも早すぎます。

 旦那さまと奥さまがいない時に屋敷から出るなど・・・。


 ユーリさん。

 せめて、旦那さまと奥さまにもちゃんと説得させてから準備等してください。

 それまでは町に出ることもいけませんよ。


 ディオンさま。それでよろしいですか?」


「あ・・・あぁ・・・。

 分かった。それでよい・・・。」


「これ、サム。

 ディオンさまに向かってそんな言い方をするとは!」


「まぁ、良いんじゃ。

 サムに一言も言っておらんかったし、怒るのも同然じゃろ・・・・。


 ユーリちゃん。

 旅に行くのは良いが、旅に出る目的はなんじゃ?

 まぁ、この話はフィリウスとセシル殿たちが戻って来てから話そうかの・・・。


 アンディー。

 悪いが、フィリウスたちに連絡を入れてくれないか?」


「分かりました。ディオン様。

 今日はもう遅いので、明日の朝に連絡を入れさせていただきます。」


「任せたぞ。」



 ユーリがディオンたちと話した夜から三日後、

今までと同じように屋敷内ではエドワードを遊ばせるユーリとリュウ。それを見ているサムとシン。

 以前なら、サムが別の仕事でそばにいない時もたまにあったが、サムはユーリから目を離すことがなかった。


エドワードはアクアを抱っこして走り回っていたある時、エドワードたちから強い光が発生したので、ユーリとサム、シンは駆け寄った。

 エドワードは光に驚きはしたが、何やらいつも以上にニコニコと嬉しそうだった・・・。


 そして、エドワードの小さな手の甲に赤い印が付いていたのだった・・・。

 その模様に見覚えあるユーリが自分の手を見た・・・。


「エドワード君・・・。

 ちぅ・・・ちょっと、アクアを見せて。」


 ユーリは落ち着こうとはしたが、それが裏目になって噛んだが言いなおしたら、エドワードは両手でアクアを差し出して、「はい。」と無邪気に言った。


 ユーリはアクアに『鑑定』をした。


 種族:スライム   名前:アクア  性別:不明  年齢:二歳  主:エドワード



「・・・・?

 主が私からエドワード君に変わってる???」


「う?」


「あぁ・・・。

 鞍替えしたんですか・・・。」


 サムは納得したように言ったが、ユーリはサムの言葉で顔色を変えた・・・。


「く、鞍替え・・・。グスン・・・。」


 ユーリは泣き出しそうになった。

 シンはサムを肘で合図をし、ユーリの頭を撫でた。

 リュウもユーリを慰めるため、体をすり寄せたり手を舐めた。


 しまったという顔をしたサムは慌てて、「申し訳ありません。」と謝ったのだ。


 従魔の主が変わる事はそこそこあるそうだ。

 良くある例は祖父から孫へ、親から子供へ従魔が判断し、主を変える。

 滅多にないが、従魔の世話を使用人にばかり任せていた貴族が気付いたら、自分から使用人に変わっていたり・・・。


 今回のアクアはどうやら珍しいケースだがあり得るようだ。

 本来ならば、血縁に主が変わるのが通例なのだが、同じ村に暮らしている者同士の間で主が変わった事があるようだ。


 特にスライムのような低レベルの魔獣は本能的に弱い方を守ろうとする習性があるようで、たまに生まれたばかりの赤ん坊に従魔契約が移っていたケースもあるようだ。



 ユーリたちは屋敷に戻り、ミルクたっぷり入ったミルクティーに蜂蜜も入れてくれたお茶をサムがユーリに渡した。

 涙ぐみながらユーリは飲んでいた。

 サムはゆっくりとユーリに従魔契約の詳しい話をしたのだった。


 ユーリはサムの説明を聞いて、リュウを見た。


「リュウもアクアみたいに、主を変えてもいいよ?

 本当は嫌だけど、リュウがしたいようにして良いよ・・・。」


 ユーリはリュウの目をしっかりと見て話した。

 リュウはユーリの顔を一舐めして甘えるように小さく鳴いた。

 その時のリュウのセルト石は青緑色になっていたそうだ。



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