2-7 視察 その三
ディオンの視察はほとんど終わったらしく、ワーム退治からの道のりはゆっくりとしたモノだった。
いつもだったらディオンの視察が終わり次第、村や町を出発していたのだが、ユーリたちの依頼に合わせて滞在期間を延ばしたりしてくれた。
冒険者ギルドで依頼を受け、三人ではなくディオンやレオンも一緒に来てくれたり、レオンだけついて来たりもした。
サムが依頼を受ける際、レオンが口を出したりもしたのだ。
クロードとライの長期休暇まであと一ヵ月なので、ディオンたちは王都に向かい始める事になった。
のんびりと昼食を食べていると、遠くから馬がすごい勢いで近付いてくる。
一人の男性が乗って急いでいる様子だが、五人がいる所に近付いてきた。
男性はこの先にある小さな村に住んでいるのだが、ゴブリンが近くの森に住みついて近くの町にある冒険者ギルドに依頼を出しに行く途中だったようだ。
サムは男性に水を渡し、レオンが詳しい話を聞いていたのだ。
ディオンとレオンが顔を合わせ、「任せろ。」とレオンが男性に言った。
男性はレオンがBランク冒険者だと分かると今すぐにでも村に案内したいと申し出た。
村に着くと男性は、すぐにレオンたちを村長の家に案内したのだ。
村長の話では森の奥の方に洞窟があり、そこにいつの間にかゴブリンが住み着いて繁殖したそうだ。
今夜は、そのまま村長の家に泊めてくれるらしい。
レオンはゴブリンを見た村人から話を聞いてくると言って、村まで案内してくれた男性と共に外に出た。
二時間ぐらい経ってからレオンが戻って来たのだ。
そして、レオン、サム、シン、ユーリは一つの部屋に集まって、レオンが村の人々から得た情報を話した。
洞窟まではこの村からだと一日半はかかるらしい。
「ゴブリンだけでなくホブゴブリン以上のボスもいる可能性が高い。
俺とサム、シン、ユーリ嬢ちゃんの四人で討伐する事が良い。」
とレオンが言うが、サムはすぐに却下した。
「ユーリ嬢ちゃんは元々森で生活したから、森の移動は慣れている。
それにだ。ゴブリンの数が分からない。
ホブゴブリンと数匹のゴブリンだけだったら三人でも簡単だが、それ以上のボスがいたら統率も取れているし数も多かったら無傷では済まないだろう。
だから、村にユーリ嬢ちゃんを置いていくのは得策ではない。
良いか、サム。
ユーリ嬢ちゃんはまだ見た目は子供だが、腕前は本物だ。」
そうレオンが言うとサムは何も言えなくなった。
朝早く、レオンたちはディオンを村に残し、森に入って行った。
二日目、レオンたちは洞窟の入り口を見つけた。
入り口にはゴブリンが二匹立っていたが、レオンが素早い動きで静かに仕留めた。
レオンが合図して三人は出て来て、洞窟に入った。
今朝レオンが話していた作戦通りに進んでいる。
隊列はレオン、シン、ユーリ、サムの順番で洞窟を進む。
中はそこまで複雑に入り組んでいないとレオンは話す。
今のところ、レオンが言ってた通り道は一本道だが、たまに狭い部屋のようになっているが行き止まり。
四人は順調に先に進んでいたが、レオンが足を止めた。
「この先が広場になっていて、そこが最終地点だ。
多くのゴブリンがいて、ボスもいるはずだ。
みんな、準備はいいか?」
レオンがみんなの顔を確かめながら言ったら、それぞれ頷いた。
レオンは広場に出ると大きな声で叫ぶと、ゴブリンたちは武器を片手に襲ってきた。
レオンが先頭でゴブリンを倒しながら進み、その後ろでサムが魔法を発動。
サムを守る形でシンとユーリが剣でゴブリンを切る。
四人が十匹ほど倒したところで一番奥の布がかかっている壁の向こうから倍も大きいゴブリンが出てきたのだった。
「げ・・・。
ゴブリンキングかよ・・・。
ここは任せたぞ。三人。」
レオンは一人、ゴブリンを倒しながら群れの中を走り、一番大きいゴブリンを目指す。
ユーリとシンはそれぞれゴブリンたちを倒し、サムは魔法で遠くのゴブリンを倒していく。
ユーリは魔法を使いつつ、素早さを武器に戦う。
レオンとゴブリンキングはお互いに打ち込み合い、周りにいたゴブリンを巻き込みながら戦闘していたが、「そんなもんか!」とレオンが言うと、ゴブリンキングの首が飛んだのだった。
その後、四人は残党が残っていないか確認しながら、洞窟の外へ出たのだった。
洞窟に行く途中で見つけておいた小川で今日は野宿をする事になった。
夕食の後、サムがユーリに怪我はないかと何度も聞いてきたのだ。
レオンが「傷の一つや二つ出来てもしょうがない。」と言うが、サムは「旦那さまと約束されましたよね?」と言った。
ユーリはゴブリンの遅い攻撃はすべて避け、尚且つ防御魔法もかけていたので無傷であったのだ。
村に戻り、村長や村人に感謝されお礼にご馳走を頂き、お土産に食べ物をたくさん貰った。
サラレイン領の視察旅。
これで終わります。




