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不注意で、生まれ変わりました。  作者: 水無月ツクナ
第二章 選択した先に?
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2-6 視察 その二



 あれから二ヵ月ほど、サラレイン領内の村や町を巡りユーリは三回ほど採取依頼を受けたのだった。


 とある小さな村ではいつもとは違い、少し村人たちが騒がしく数名の若い男性が武器を持っていた。

 サムとシンは少し警戒したが、異変に気付いたレオンはディオンを馬車から連れ出し、村長の家に向かったのだった。

 レオンの代わりにサムが馬を連れて、村の中心にある広場へ行った。

 しばらくすると、ディオンとレオンともう一人見慣れないおじいさんを連れて戻って来たのだ。


 なんでも、村の周りにある畑が魔獣に荒らされる被害が目立ち、村の若い男性だけで討伐しようとしている時に、ディオン一行が来たのだと村長は話した。

 詳しい状況は夜になるとワームと言う魔獣がやって来て、村の半分ほどの畑が荒らされ、食料不足が心配されたのだった。

 ワームは、ミミズを1mほどにしたような魔獣でワーム自体はそう強くはない。


 村に着いたのはもう夕方だったので、今日は村に泊まって翌日に討伐することになった。

 村で一番強い若者がワームの住処になっている洞窟に案内してくれると言う。

 ワームの強さは大した事ないとレオンが言うので、今回の討伐はユーリとサム、シンがする事になったのだ。


 次の朝、ユーリたち五人と村人一人が洞窟の前にやって来たのだ。

 サムとレオンがワームの特徴と弱点などを詳しく説明し、村人が洞窟の中は一本道で家が三軒ぐらいの長さだと話してくれた。


 みんなの準備が整ったので、洞窟に向かったのだ。

 先頭はシン、すぐ後ろにユーリ。レオンとディオンが真ん中で、後ろはサムと弓を構えた村人だ。


 洞窟に入ってしばらくすると、ワームの群れが襲ってきたのだった。

 シンとユーリはそれぞれ剣を手にして向かい、リュウもディオンを守るように構えていた。

 サムと村人は弓や魔法でワームを倒していく。


 十分ほどしてワームの数が半分ぐらいになった頃、洞窟の奥が見えてきた。

 奥に一回り大きい赤い何かが一匹いるのを全員が見つけた瞬間、レオンがユーリとシンの間をすり抜け、素早い動きで一突き、赤いワームらしき魔獣を倒したのだった。

 その後は、シンもユーリも汗を流しつつ、ワームの残党退治をしたのだった。


 ワームを全滅した所で、六人で村に戻るとそのまま宴会になり、村全体が夜遅くまで騒いだのだった。


 朝になり、レオンはまだ酒が抜けてないらしくサムから薬を貰って飲み、ディオンは村長と話して手紙を書いて、村長に手渡していた。

 村のみんなに見送られ、出発できたのは昼食後だった。


「あの手紙?

 あぁ、あれはディオンさまが周りの町からさっきの村に食料を配給してくれるようにお願いした書類だよ。

 あれがあれば、村の人たちが食料に困らないんだよ。」

 サムはユーリにさきほどディオンが書いた手紙の意味を教えてくれた。


 そして、その日の夕飯の時に、洞窟の一番奥にいた赤いワームについて、レオンが話してくれたのだ。


「あの赤いワームか?

 あれはな、あの群れのボスで『マザーワーム』って言うんだ。

 他のワームより強くて厄介なやつなんだ。」


「へぇ・・・。ボスだったんだ・・・」


「そうそう。

 ワームはEランク相当だが、マザーワームはその一つ上なんだ。

 ユーリ嬢ちゃんなら倒せただろうな。」


「・・・・

 じゃあなんでレオンさんが倒したの?

 今回は全部私たちに任せるんじゃなかったの??」


「あ・・・いや。

 マザーワームはな、他のワームと違って土に潜って隠れるんだ。

 戦闘が長引けばそれだけでマザーワームが逃げ出す可能性も高くなるんだ。

 マザーワームに逃げられれば、また別の場所で繁殖して村が襲う可能性も出てくるんだ。

 だから、ユーリたちを信用していない訳ではないが、逃げられる前に倒す必要があったからな。」


「・・・そうだよね。

 せっかく、助けた村がまた襲われちゃったら嫌だもんね・・・。


 それは分かるけど・・・なんで全部私たちに任せてくれなかったの・・・。」


 レオンがユーリに話すが、ユーリの声は次第に小さくなり、最後に「レオンさんのバカ・・・。」と呟き、一人馬車へ戻ってふて寝をするのだった。


 その後もユーリは一言もしゃべらず淡々と食事をして過ごした。

 二日ほどユーリが拗ね、一行は重い空気の中、とうとうレオンが痺れを利かせたのだ。


「ユーリ嬢ちゃん・・・。」


 レオンが呼んでもユーリは下を向いたまま、ディオンたちは呆れて何も言わない。


「サム。

 お前たちが今まで受けた依頼内容を教えてくれないか?」


「依頼内容ですか?

 住民宅の草むしりや薬草採取ですね。」


「討伐依頼は受けてないのか?」


「はい。一度もありませんよ。」


 ユーリはレオンとサムの会話に時折、反応する素振りを見せた。


「・・・。

 サム、ユーリ譲ちゃんの冒険者ランクを知っているのか?」


「えぇ。もちろん。

 一応、リーダーとして把握させてもらっています。

 ユーリさんの冒険者ランクはEランクだそうですね。」


「なのに、今までFランクの依頼ばかり受けていたのか?」


「はい。

 ユーリさんに危険な目を合わせたくはありませんでしたし、稽古だけで実践は見たことがありませんでしたしね。」


 サムが言った事を聞いてレオンはため息をついて、ユーリの頭を撫でた。


「サム。

 機会があれば、討伐依頼も受けろ。」


 ユーリはレオンが言った言葉に驚き、顔を上げた。


「ユーリ嬢ちゃんの腕ならEランクぐらい軽くこなさすさ。」


「ですが・・・」


 サムはレオンに反論しようとしたが、ディオンは咳払いを一つしてウィンクをした。

 サムは何も言えずにいた。


「分かりました。

 但し、EランクもしくはDランクまでですからね。

 あと、シンがメインでユーリさんはシンの後ろですよ!」


「Dランク?」


 ユーリはいまいち冒険者の依頼ランクについて知らないので、レオンの顔を見て首を傾げた。


「あぁ。サムから聞いてなかったのか?ユーリ嬢ちゃん。


 Eランクっていうのはこの前のワームように人を好んで襲わないが、人が被害を受ける虫系だったり、主に草食の魔獣で革なんかが素材として流通している。


 DランクはEランクの魔獣が群れになった時に出てくるボスだったり、人を襲う魔獣だ。

 ゴブリンとかな・・・。


 ゴブリンでも十体以上になればホブゴブリンとかの上位ランクのボスがいる。

 ホブゴブリンなんかの討伐だとDランク相当だが、まぁ大抵は増える前に他の冒険者が倒したりして滅多にないけどな・・・。」


「ゴブリン・・・。

(やっと、異世界冒険者らしい敵が来た・・・。)


「ゴブリンなんか・・・、ユーリさんにはまだ早すぎます。」


「まぁ、街道に出てくる数匹のゴブリン退治ぐらいなら問題ないだろう。

 な。シン。」


 サムがユーリの発言に過剰反応したが、レオンがシンに話を振った。

 シンは黙ってコクリと頷いたのだ。



 クロードたちの長期休暇まで、あと二ヵ月。

 ユーリはこれからの旅に少し期待をするのだった。




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