序章3 神様を脅す。
はぁ・・・・・。
私は、大きなため息をついて再び神様(自称)を見た。
神様(自称)はなんか嬉しそうに背中丸めてまま、こちらを見た。
(なんか、大きい犬みたい・・・。
白い耳と尻尾が嬉しそうに振ってるように見えるな・・・)
「神様(自称)に会えるなんで嬉しいな・・・。」
めっちゃ棒読み・・・。
神様(自称)が立ち上がった!
「嬉しいか?嬉しいか?嬉しいだろう!
なんせ、お主の世界の神だからな!」
自称だろうか、神は神・・・。
何より自分より年上(?)らしい人が立っているので、私も立ち上がった。
「で、神様(自称)。
私に何が御用でしょうか?」
「・・・・。
お主は死んだ。と言っても、お主には選択権が与えられた。」
「・・・・??
え?今なんて言った?
死んだ?私は死んだの?」
私は、神様(自称)の腕を掴みながら言った。
神様(自称)は目を開き嬉しそうになった・・・が、その後申し訳なさそうに目を逸らした。
「・・・ごほん。
普通、お主がいた世界では死んだら前の記憶を消して、新たな命として生まれ変わる。
所謂、輪廻転生じゃ。
しかし、お主は稀なケースでの死亡により、生まれ変わる際に二つの選択をお主自身に決められる事となった。
1.通常通り、前世の記憶を消して再び、お主のいた世界に生まれ変わる。
2.前世の記憶を消さず、こことは違う世界に生まれ変わる。
・・・いわゆる、異世界転生じゃな。
異世界転生なんて滅多にない事じゃよ。
生前、人生をかけて善い行いをした者だけとか、あまりにも不幸な人生を歩んだ者のみが許されるんじゃ!」
(・・・・?
私・・・なんか良い事したっけ??
悪いことは進んでしてないけど、良い事もしてないよな・・・。
・・・そこまで不幸な人生・・・・ではなかったよな・・・。
恵まれた人生・・・とは言えないけど・・・それなりに悪くない人生だったよな・・・。)
長い白髪のお爺さんが胸を張って言った事を、私は首を傾げながら見た。
(そういえば、さっきこの人、目を逸らしたよね・・・。)
ギクッ!
爺さんが汗を流しながら、また目を逸らし始めた。
「おい!じいさん。
言いたいことがあるなら、今からでも遅くないから話そうか・・・。
さもないと、私の右手がじいさんの頬を殴りそう・・・。」
私が右手を握り、胸ぐらいまで持ち上げたら、じいさんは素早く両手を振り始めた。
「痛いのは駄目じゃ、言う。言うからその手を下ろして。
悪かった。悪かった。言うから。儂は神じゃ、神に二言はない。嘘は言わん!」
しょうがないので、握りこぶしを下ろした。
知らない間に、小さな丸い机と薄い座布団が用意され、お茶が出された。
「ふぅ。やはり、お茶は緑茶。しかも、日本茶が一番落ち着くなぁ。」
グィっとじいさんが飲み、大きく息を吐いた。
「おい・・。じいさん。
何、落ち着いてんだ。
そんな事はどうでもいいからさっさと吐け!」
「どうしても言わないとダメ?」
「何、可愛い子ぶってんだ。
なんか私に都合の悪い事を隠しているのは分かっている。
良いから、早く話せ!
さもないと、この机のひっくり返すぞ!」
ビクッ。
私が思った以上に低い声で脅すとじいさんがまだ冷や汗を流しながら湯飲みを机に置いた。