2-2 ステータスと再戦
武器屋の帰りはサムが手配した馬車に乗り、宿に帰ったのだった。
しかも、ユーリはサムの隣で凄く睨まれ、少しでも動くようなら止められるのだった。
「良いですか。ユーリさん。
今日は一歩も部屋から出てはいけませんよ。
レオンさま、何が何でも外に連れ出そうとしても駄目ですよ。
例え、お願いされても泣き喚こうと駄目ですからね。
シン、レオンさまをしっかり見張っていなさい。」
ユーリ達は宿に着くとすぐにユーリの部屋に押し込まれ、キツくサムに言われたのだった。
(チィ・・・。
やっぱり、レオンさんは簡単だったが、サムさんは上手く取り込めなかったかぁ・・・。)
ユーリはレオンのステータスの詳細鑑定をした。
(あれ?
ステータスって、最高ランクが10だったよね・・・。
レオンさんって、一番高いステータスでも8だよ・・・。
Bランクだからか?
でも、レオンさんの魔法適性が1だ・・・。
私の適正は4~6で、魔法適性は6だよな・・・。
・・・適正レベルから言って・・・私の方がバランス良いのでは・・・・?
ルージアさま・・・。騙したな・・・。)
ユーリは大人しくリュウの毛繕いやアクアを撫でたりして、時間を潰したのだった。
そして、夕方。
部屋の周りが騒がしくなるので、ユーリはフィリウス達が帰って来たんだと思った。
一人分だけ急いで、ユーリ達が待つ部屋に近付き、大きな音で扉が開いたのだ。
「ユーリちゃん。
サムから聞いたよ。
部屋で大人しくしてるって、約束したよね!
なんで武器屋に行って、買い物したのかな??」
フィリウスは笑顔で微笑みながら言い、あとからディオンとサムが入って来た。
「レオン。
なんで、お前が居ながら一緒にギルドに行ったんだ。」
レオンはフィリウスに声をかけられ、しどろもどろになっていた。
「違うの。
レオンさんは悪くないの。
私がお願いしたの。」
ユーリはレオンを背にして言った。
「ほう~。
レオンは悪くないから叱らないで。と言いたいのかな~。」
フィリウスは腕を組んでユーリに言って、ユーリは無言で首を縦に振る。
「そうだね。
レオンはユーリちゃんにお願いされて、ギルドに行ったとしよう。
そして、武器屋で武器を見繕ったと・・・。
でも、レオン。
そもそも宿から・・・いや、部屋から一歩も出すことがいけないんだよ。
そして、ユーリちゃん。
なんで、こんな事をしたのかな?
キミはまだ十二歳だ。
十二歳の女の子が武器なんか手にするなんて駄目じゃないか!」
「(う・・・。
それはその通りだ・・・。
前の世界ではね・・・・。)
でも、フィルさん。
フィルさんは十一歳でレオンさんと一緒に冒険に出たんだよね?
その時、フィルさんもレオンさんも武器を持って行ったんじゃないの?
なんで、私は駄目で、二人は良いの?
冒険者登録は十歳で出来るんでしょ?
男の子だから良くて、私は女の子だからダメなの?」
「う・・・・。」
「フィルよ。
お前の負けじゃ。
ユーリちゃんはユーリちゃんの生き方がある。
儂らの都合で振り回したら、ユーリちゃんが可哀想だろう。」
「父上・・・。」
「(ナイス!ディオンさん。)ディオンさま!」
ユーリは助け船を出したディオンに抱きついたら、ディオンはしっかりと抱きしめ返した。
「ユーリちゃんよ。
本当に孫のように可愛いの~。
養子縁組まではいかんが、せめて儂の事を『おじいちゃん』と言ってくれないか?」
「ディオンおじいちゃん?」
ディオンはユーリを持ち上げ、自分の頬をユーリの頬にすり寄せたのだった。
翌日、クロードとライの入学式だがユーリとサム、シン、そしてエドワードも一緒に留守番になった。
セシルは「まだエドワードが小さいから、お願いね?ユーリちゃん。」と言われ、フィリウスも「よろしく。」と言って出かけて行った。
エドワードは「ユーリおねえちゃん。」と笑いながら、ユーリの腕の中で言ったのだった。
(う・・・。
可愛い・・・。
エドワード君の曇りなき笑顔がとても眩しい・・・。
こんな小さい子を連れて町になんか行けない!
それがフィルさんたちの企みであっても・・・。
ちょっと防具屋とか冒険に使うアイテムとか見て回りたかった・・・。
でも、武器は買ったし・・・。
何よりエドワード君が可愛い!!
だから、まぁ良いか。)
という感じ、ユーリはエドワードの幼さの前にメロメロであった。
その後、昼食前にユーリとエドワード、リュウはマヤに見守られながら一緒にお風呂に入ったり、部屋で遊んだりしていたら時間が過ぎて行った。
日も暮れ始めた頃にディオンたちは戻って来て一緒に夕飯を食べた。
「もう、エドワードはユーリちゃんの事を本当のお姉ちゃんのように慕っているのね。
少し前まではお風呂に入れるのも一苦労だったのよ。」
「あぁ・・・そうだな・・・。
私と一緒だと嫌がって大変だったんだかな・・・。
父親なのに・・・。」
「フィルさま、ファイト・・・。
エドワード君はきっとリュウと一緒だから嬉しいんだと思います。
よくリュウとエドワード君が一緒にいる事が多いし・・・。」
ユーリはフィリウスへの応援をしつつ、リュウが小さな子供や女の子には警戒せず接しているのを思い出しながら言った。
「あ、そうだ。ユーリちゃん。
明日の夕飯は変・・・兄上とイアンと一緒に食べる事になったけど、構わないよね?」
「(フィルさま、自分の兄に向って変態と言いかけてなかったか・・・・。)
はい。私は別に構いませんよ。
お二人はお仕事が忙しいのではなのですか?」
「大丈夫だ。
むしろ・・・二人から王都最後の晩餐に。と言われたんだ。
(兄上も反省して、ユーリちゃんに謝りたいと申し出てて来たしな・・・。)」
―学園の入学式後の茶話会―
「フィリウス・・・。ちょっとこっちに来てくれ。」
息子の門出に喜ぶ親や全寮制の生活に期待をしている子供たち、中には親元を離れる不安な顔をする子供もいる。
その中で、王と共に来ていた側近のオズワードがフィリウスに声をかけたのだった。
「どうしたんですか?兄上。」
フィリウスは少し引きずった笑顔のままオズワードの指さす中庭の隅へ行った。
「なぜ、私の家から宿屋に移ったのだ?」
「それは兄上が変態だったから息子たちやユーリちゃんに変な影響を与えないためですよ。」
「へ・・・変態。
あの後、王からも言われてさすがの私もあの発言はまずかったと反省している。
嫁ではなく養女にしたい。そして、誰ともけ・・・。
ゴホン・・・。
いや、私もイアンも仕事が忙しいので、そのような時間は取れそうにないし父上やセシル殿、フィルに任せた方が良いという事は理解した。
だが、せめて一度で構わん。
王都を去る前に、皆と共に晩餐を食べようではないか。」
「晩餐・・・ですか?
まぁ、それぐらいなら構わないでしょう。
(晩餐ぐらいなら・・・な。
家族で食事をする機会などそうないしな・・・。)
もちろん、イアンも連れて来てくれるんでしょうね?兄上。」
「もちろんだ。
この前みたいにさっさと研究にも戻ることもあるまい。
イアンが手掛けている研究も一段落したと報告は受けているしな。
ところで、フィルよ。
人の子とはどうやって出来るのだったか?」
影でこそこそと話している二人であったが、フィリウスはむせ始めた。
「な。何をいきなり言い出すのですか?兄上。」
「いや。今日、お腹の大きな女性たちを見て、ふと思ったのだ。」
「思ったって・・・。
母上が身籠ってイアンが生まれたのを知っているでしょう。
それに共に家庭教師から教わったでしょう・・・。
(そういえば、王が兄上の浮いた話を聞いたことないと言っていたが・・・もしかして・・・。)」
「お前やイアンを身籠った時・・・確か、母上のお腹がどんどん大きくなっていったな・・・。
家庭教師?そんな事あったか??
鳥と違って人の卵はだんだんと大きく成長していくのではないのか?
肌身離さず温める必要があるのではないのか?」
「人の卵・・・。成長する卵とはどんな卵ですか?
それに卵であるのなら、別に母親がずっと抱えている必要はないでしょう。
(・・・そういえば、イアンの兄上だから仕事以外の事が駄目なのでは・・・・
いや、待て。
兄上もイアンも私と同じが流れている・・・・。)」
「おぉ、そうだ。
そうだな。
さすが、我が弟だ。頭が良いな・・・。
頭が良いと言えばイアンだ・・・。
そういえば、イアンが分裂がどうのこうのと言っていたな。
そうか、分裂してふえ・・・。」
「何を言っているのですか?兄上?
人は分裂して増える訳がありませんよ?」
「どうした?フィルよ。
急に怒り出して・・・。」
「急ですか?
兄上が変な事を言い出すからに決まっているでしょう。
ご自分で書物など調べて見てください。
なんでしたら、女性とお付き合いをしてみるのも良いでしょうね。」
フィリウスはそう言い切ると怒りながらディオンやセシルたちの元に戻ったのだった。
フィリウス兄弟との夕食中、フィリウスがオズワードを睨み、オズワードも発言に気を付けながら変に間があったり、どことなく気まずい晩餐となった。
帰りの馬車の中でディオンがユーリに言った。
「そうそう。
明後日、領の屋敷に戻るぞ。
ユーリちゃんも用意とかしておいくんじゃよ。」




