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不注意で、生まれ変わりました。  作者: 水無月ツクナ
第一章 2回目の人生だから、慎重に・・・
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1-18 王都まであとちょっと



 シンとユーリの後の稽古は無くなったのだった。

 クロードとライの稽古のはずだったのだが、二人がユーリを取り込んで質問攻めにしたり、話が盛り上がってしまったのだ。

 おかげでクロードはユーリを警戒しなくなった。


 シンが初めて来た時に、クロードとライが剣の相手を申し込んだけど、手加減が出来ずにレオンが止めなければ、骨が折れていたかもしれないらしい。

 サムは回復魔法を主に使えて、攻撃魔法も多少は使えるみたいだ。


 その後の夕飯で仲良くなった三人の姿にディオンとフィリウス、セシルを驚かせたのだった。

 夕食後、ユーリの部屋にレオンがやって来て、ユーリの冒険者カードを渡した。

 登録したばかりの冒険者はFランクだが、ユーリが持ち込んだ素材各種からの判断でEランクから始めても問題ないそうだ。


 翌日から午前中はシンがユーリから離れて、中庭でレオンと一緒にいることが増えた。


 午後のクロードとライの稽古の時に少し疲れたレオンの姿が見えるようになった。

 そして、ユーリは昼食からシンに付け回されていた。


 レオンと稽古する二人の近くでギルバードやリュウと遊んでいたが、すぐそばにシンが二本の木刀を持ち無言で立っている。

 ギルバードが寝ていると、シンがユーリに無言で木刀を差し出す。


 ユーリは渋々受け取って、一時間ぐらい打ち合うのが日課になっていた。




―八日後-


 みんなで王都に向かう日となった。

 ユーリが乗る馬車にはディオンとフィリウス、クロード、セシル、レオン、ライが一緒に乗り込むのだった。


 王都まで12日間、何もなかった訳ではない。

 盗賊に襲われかけ、魔獣にも一回襲われた。

 だが、大人たちは特に気にせず何事もなかったように振舞うのでなかった事になっていた。

 魔獣に関してはゴブリンの数匹が出てきて、少し馬車が止まったがすぐに出発した。

 盗賊たちは、馬車の中からも声が聞こえていた。



 ユーリは王都にはあと二日で着く前に小さな町に立ち寄った。

 庶民の服に着替えたフィリウスとレオンが二人で宿を抜け出すのをユーリが見つけたが、レオンがみんなで内緒だぞ。と言われ、一緒に着いていたら町の酒場に連れていかれた。

 酒とつまみ、そしてユーリはジュースが出た。

 ユーリがずっと気になっていた事をそれとなく二人に聞いた。


「あぁ、あいつらか。

 俺がレオンだって分かったら尻尾を巻いてすぐに逃げたさ。」


「尻尾?

 獣人族だったの?」


「あはは。

 ユーリちゃんは相変わらず可愛い事を聞くんだね。

 言葉のアヤだよ。ただの比喩さ。


 レオンはね、これでも元Bランクの冒険者なんだよ。」


「Bランクの冒険者??

 どれぐらい強いの?」


「Bランクはね、国の中でも10人もいるかいないかぐらいの強さだよ。

 Aランクまでいくと勇者だの賢者だの言われるぐらいだが、その一つ下のBランクでもとても強いんだ。

 な、レオン。」


「まぁ、元だ。昔の勲章みたいなもんだ。

 ユーリ嬢ちゃんだって、その歳でEランクだ。

 このまま成長したら、全盛期の俺より強くなれるさ。

 俺には魔法の才能はなかったしな・・・。


 まぁ、元Bランクってのも楽じゃねぇぞ。

 今でも国家の危機となれば、国から呼ばれて戦場に駆り出されるんだぞ?」


「へぇ・・・。

 国の危険ってどんなの?」


「あ~。そうだなぁ・・・。

 ドラゴンが出たとか、神獣クラスの魔獣が出たとかじゃないのか?

 なぁ。フィル。」


「あぁ・・・。

 確か、10年前に一度ドラゴンが出て倒したよな・・・。


 あとは戦争か?

 魔人族からケンカ売られたりな。」


 フィルとレオンは笑いながら話していた。


「魔人族?

 魔人族なんかいるの?」


「あぁ、いるさ。

 でも、この国にも魔人族が住んでいるし、他の種族とのハーフが生まれたりな。

 今でも友好関係を築いてるさ。」


「あぁ、そうだな。

 俺たちが生まれる前に友好関係を結んだとかで、兄上も魔人族の国に招待されて夜会なんかやった事があるそうだ。」


「へぇ・・・。友好関・・・。

 え?兄上?


 フィルさんって、長男じゃないの?」


「私?

 言ってなかったか?」


「・・・全然・・・。」


「あはは・・・。」


「フィルさん・・・。



 普通、家督って長男が継ぐのが当たり前なんじゃない?」


「ほう・・・。家督・・・。

 ユーリちゃん。難しい言葉をよく知ってるね~。」


 レオンがフィルの持っているコップにワインを注ぐ。

 フィルは一口飲んで、笑って答えた。


「誤魔化さないで。」


「あはは、誤魔化してなんかないさ~。

 いや。ただね。

 兄上が真面目で、几帳面で仕事が良く出来た。

 そして、現国王の同級生で親友だったそうだ。

 現国王から補佐をして欲しいと言われて領主の座を私に任せて、今は王政に走り回っているって事だよ。

 しかも、兄上は昔から結婚だのに興味がなかったから、本人も喜んで王都に行ったんだ。


 はぁ・・・・。

 兄上が王都で王の補佐なんかしてなかったら、レオンと一緒に冒険出来たのに・・・。」


「あはは。

 そんな昔の事、まだ根に持ってるのか。フィル。」


 レオンはフィリウスの肩をバンバンと叩きながら大声で笑っていた。


「こいつな。

 17の時にな、俺とパーティ組んで旅してたんだが、いきなり王都に戻れ。って伝令が来てな。


 二人で王都に向かってみたら、まだ王になっていなかった現王とこいつの兄貴がいたんだ。

 兄貴に王を補佐するから、いますぐ学園に入って領主になれ。って言ったんだ。

 そして、そのまま俺と別れて学園生活さ。


 あの時はさすがに驚いたが、今ではもう立派な領主さまじゃねぇ~か。」


 リオンは大笑いしながらワインを飲み、フィリウスはうなだれ肩を落としていた。


 ユーリは「元気を出して。」と言うと小さく「ありがとう。」と言っていたように聞こえた。




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