1-14 テイマーギルド
三人が屋敷から出て、町に出て行った。
その間、レオンは人が多いから迷ったら危ないと手をつなごうと言ったので素直にユーリはレオンと手をつないで仲良く歩いた。
(人が多いと言っても昼間の商店街の感じで、このぐらいなら迷子になんかなりそうもないのにな・・・。
まぁ、屋台とかから美味しそうな匂いがするからライとかなら迷子なりそうだな・・・。)
「ユーリ嬢ちゃんは大人しいな。
それとも、人が多いからビックリしたか?」
レオンは少し腰を屈めてユーリに話しかける。
「全然。
このぐらいなら、大丈夫だよ。レオンさん・・・。
なんかレオンさんがお父さんみたい。」
ユーリは無邪気な顔で笑いかけて言ったら、レオンは顔を背け胸に手を置いて「よし!」と大きな声で叫んだ。
その声に驚いた周りの人が振り向いたが、レオンはそんな事知らずに嬉しそうに尻尾を振っていた。
「ここがテイマーギルドだ。」
少し気品にあふれ気味の二階建ての建物の前に三人は立ち、レオンが扉を開いた。
「ユーリ、シン。
先に俺が受付で手続きしてくるから、そこのソファで座って待ってろ。」
レオンはそう言うとユーリの手を放し、一人で受付に向かっていった。
二人になったユーリとシンは何も話さず、シンもユーリも動かなかった。
ユーリはシンの表情を見たが、すぐに首を振りシンの片手を握ってソファまで近づき、リュックを外し座った。
シンはソファには座らずにユーリの隣に立ち、後ろで両手を組んだ。
レオンと受付にいた人は何かを話しながら、レオンは何か記入していた。
「こ、子供!!」
受付の人が声を大きくして、レオンから受け取った紙を奥に座っていた男性に慌てて持っていったら、奥に座っていた男性がレオンに近付き二人で少し話したあと、レオンが呼んだ。
「ユーリ。シン。
ちょっとこっちに来てくれ。」
奥からきた男性はカウンター横にある廊下へ歩いていくと、レオンが廊下の奥を指した。
どうしたかと思ったユーリだが、シンが片手を出してきたのでシンの手を取って二人でレオンのあとを追って、奥にあった部屋に入って行った。
「初めまして。当テイマーギルドのギルドマスターをさせていただいております。
ユーリ様でしょうか?」
初老の獣人族の男性がお辞儀をし、ユーリの前に片手を出してきた。
ユーリは何故こうなったかわからないままでいたが、レオンに言われ片手を出したら、テイマーギルドのマスターは慌てて両手で握り返した。
「ユーリ。
ちょっとこの方にリュックの中を見せてやってくれないか?」
「う・・ん。分かった。」
ユーリは戸惑いながらリュックを下ろし、蓋を開けた。
その中でリュウは背中を丸め、寝ていた。アクアは蓋が空いたと同時にユーリに飛びついた。
「あ、リュウが寝ちゃってる・・・。
レオンさん、リュウを起こした方は良いのかな?」
「いえいえ。滅相もありません。ユーリ様。
スライムの方はとてもユーリ様に懐かれていらっしゃいますし、シアウルフの方にはセルト石が付いた首輪をすでにしていらっしゃいます。
少しセルト石の確認をさせて頂きますが問題ありません。」
テイマーギルドのマスターからそう言われるとユーリはリュウの首についたセルト石を見せるようにした。
「はい。問題ありません。
きれいな緑色ですね。
それとシアウルフとスライムの鑑定をさせて頂きます。
これで、ギルドへの登録は完了しました。
手続きの方へと向かわせていただきます。」
ギルドマスターは手慣れた様子で鑑定をした。
そして、ユーリとレオン、シンをソファへと案内をした。
「すみません。
セルト石の色?って、何か関係はあるんですか?」
ユーリはギルドマスターに質問をした。
ギルドマスターは書類をテーブルの上に置くとテーブルの引き出しから本を取り出した。
「こちらはテイマーギルドに登録をして頂いた方々にお渡ししている従魔契約 基礎編になります。
そして、このページにも書かれております通り、セルト石の色それぞれには従魔たちの感情が大きく影響されています。
赤ですと怒りですね。」
ギルドマスターは丁寧に子供のユーリにも分かりやすく紹介していく。
セルト石が赤く色づくと怒り、青色だと悲しみ、黄色だと嬉しさ。
そして、緑色だと癒しだとかリラックスしている状態だそうだ。
リュウの首輪のセルト石が深い黄色かかった緑色なので、とてもリラックスしていると言う事が分かるのだそうだ。
ギルドマスターはもう一冊引き出しから出して、レオンへ渡した。
「こちらは保護者である貴方にも差し上げます。
一応、当ギルドでは未成年のテイマーの方には万が一の事がありますので、保護者にも同じ本をお渡しするのが規則ですので・・・。」
レオンは保護者という言葉に耳を反応させつつその本を受け取った。
その後、ギルドマスターは部屋を出て書類確認や手続きをしに部屋を出て行った。
「そういえば、レオンさん。」
「なんだ?ユーリ嬢ちゃん。」
「シンさんって無表情で困ってるんだよね?
だったら、セルト石をシンさんに付けたらわかりやすいんじゃないの?」
ふとした疑問をユーリはレオンに向かって聞いた。
「あはは。
大人びてもやっぱりユーリも子供だな・・・。
ライとクロード坊ちゃんと同じ事を言うんだな・・・。」
「な!
(あの可愛いライとならともかく、クロードと一緒・・・・)」
ちょっとショックそうなユーリの頭を軽くレオンが撫でた。
「最近じゃ~見かけなくなったが、昔は奴隷がいたそうだ。」
「ドレイ?」
「そ。人を人が従魔のように契約して従わせるんだ。
ちょっと嬢ちゃんには難しいか?」
「大丈夫。意味は分かる。」
「そっか。
奴隷にこのセルト石を付けていたんだ。
奴隷も人だ。人が人を傷つけるのは駄目だからな・・・。
まぁ、悪い主人は痛めつける奴隷は人目につかない場所に隠したりしてたそうだ。」
レオンは目を細め、寂しそうにいつも以上に小さな声で話してくれた。
「従わせる側からしたら奴隷の感情が分かりやすいに越したことはないからな。
だから、セルト石は人には付けさせてはいけない暗黙のルールになっているんだ。」
「そうだったんだ・・・。
レオンさん。教えてくれてありがとう。」
「でも、セルト石は便利でしたよ。」
ユーリがレオンにお礼を言うと、シンがポツリと言った。
「べ・・・便利??」
「はい。
私が生まれた時から泣きも喚きもしないので、両親が不安がってブレスレットにして私につけていたそうです。
私が七歳ぐらいまで身に付けてましたよ。
あれを付けていると周りの人も何も言わなくても私の言いたいことを理解してくれたので本当はもっと付けていたかったんですけどね。
村に来た冒険者が私のブレスレットを見てしまって、父親に取り上げられました。
両親も私が三歳ぐらいまでで外す予定だったそうですが、私が楽だったのでそのまま付けさせてくれたんです。
あの時、私が冒険者に上手に隠せていたら今も持っていたかもしれませんね・・・。」
「オイ・・・。それは駄目だろう・・・。」
「それって、余計シンさんの無表情に拍車をかけていたんじゃ・・・。」
シンは懐かしそうに左腕の手首をさすりつつ、レオンとユーリに突っ込まれた。
そんな中、ノックの音が聞こえた。
ギルドマスターが戻ってきて、手続きは無事完了したようでギルドマスターに見送られてテイマーギルドをあとにしたのだった。
やっぱり、オチは欲しい。




