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不注意で、生まれ変わりました。  作者: 水無月ツクナ
第一章 2回目の人生だから、慎重に・・・
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1-7 ユーリのおじいさん




(・・・。

 やっぱり、フィルさんには嘘とか通じなさそう・・・。

 なんかたまに、目が光るように見えるし・・・。


 というより、レオンさんの方が・・・騙されるというかごまかしてもなんとかいけたのが、奇跡に近かったかな・・・。

 寧ろ、レオンさん・・・今まで大丈夫だったのかな・・・。)


 まだ見た目が子供に心配されるレオンだった。


 あれから、三人で森に行って鶏より二回りぐらい大きいラナコックを狩って現在、レオンが調理中だ。

 なんでも、今夜は泊まって行くらしい・・・。


 本当はフィルは遠慮しようとしたが、レオンがちょっと強引に決めたらしい。

 フィルさんも、ユーリともう少し話がしたいみたいらしい。



 現在、キッチンではレオンが夕食の準備中で、それを横目で見つつ、フィルとユーリがお茶を飲みつつ雑談中である。


「ふぅ・・・。


 あ、そうそう。ユーリちゃん。


 レオンから聞いたんだけど、昔獣人族のおじいさんと一緒に住んでいたと聞いたんだけど、本当なのかい?」


 自然な会話の中でもどことなく見据えるようにフィルがユーリを見ながら話した。


「(・・・!!

 あ・・・。

 やっぱり、あの設定だと無理だよね・・・。


 あの後、頑張ってそれらしい設定を考えておいて良かった・・・。

 ・・・でも、結局『あれ』以上の話は思い付かなかったから・・・行くしかない!)


 ・・・本当は、少し違う・・・。」


 レオンは背中を向けつつ、一応会話は聞いているようでさっきまでの鼻歌をやめた。

 あとは膝で寝ているリュウが少し警戒し始めたけど、ユーリが頭を撫でて大人しくなった。


「おい。

 フィル、あんまりユーリ嬢ちゃんをイジメるなよ~~。」


 と包丁を持った手がちょっと危なそうに見えなくもないレオンがフィルに威嚇しているようにも見える。


「イジメてなんかいない。

 会話を楽しんでるだけだろ?


 ったく、もう保護者ヅラかよ・・・。」


「オレはお前より先に知り合ったし、一緒に一晩を過ごした仲だ!!」


 ドーン!!


 レオンはドヤ顔で威張っている。


 どうやら、獣人族は他の人族に比べて『群れ意識』が強いそうだ。

 その中でも、レオンのソレは特別強いようで、フィルが来てから何気にユーリを庇ったりユーリの近くに居たりしている。


「(フィルさんって、どっか鋭いからちょっと怖いんだよな・・・。

 レオンさんが一緒にいてくれるから良かった・・・。

 それに綺麗な毛並みだし・・・・??


 てか、一晩って・・・間違ってないけど、言い方・・・!!)


 あ、あれからライは大丈夫?」


「え・・・!

 あぁ、アイツなら今頃、村で走り回ってるんじゃないか?」


「良かった。」


「さて、ライの無事も確認出来たし、話を戻そうか。」


 キラーン!!・・・

 レオンとユーリは和やかな雰囲気をぶち壊し、フィルの鋭い眼差しをユーリに向けた。


「(・・・あ、やっぱり話を逸らしたところで、フィルさんには効かないか・・・。)


 えっと、前はおじいちゃんと一緒にこことは違う森に住んでた。

 おじいちゃんの従魔は大きな魔獣と空飛ぶ魔獣が居た。

 そして、月に数回空飛ぶ魔獣が人が住んでる場所に薬草とかを持って行って、調味料とかを持って帰ってきてた。


 おじいちゃんも二・三ヵ月に一度、一週間ぐらい帰って戻って来ない時があった。」


 慎重かつ、ゆっくりとフィルの反応を見ながら話した。


「ほぅ・・・。

 一週間も家を空けていたのか?

 一人で危なくなかったかい?」


 フィルはユーリを気遣うように見せても鋭い眼差しをやめなかった・・・。


「(・・・・やりにくいなぁ・・・この人・・・・。)


 えっと、それは大丈夫だった。

 おじいちゃんが家を空けるときにはちゃんと食料の準備をしてからだったし、大きな魔獣がいつも居たから・・・。


 でも、本当はここ一年ぐらい記憶が何故かないの・・・。


 思い出そうとすると頭が痛くなる・・・。」


 ユーリは頭を抱え、涙目でフィルを見る。

 もちろん、ウソ泣きだ!



「あぁ・・・。

 可哀想な・・・。


 フィル、ユーリを泣かせるな!」


 料理中だったはずのレオンはすぐさまユーリを抱きしめ、フィルを威嚇を始めた・・・。



「記憶がない・・・。


 そんな・・・

 私も知らなかったんだ!


 フィル、私が泣かしたみたいに言うな!


 すまない。ユーリ。

 そうだと知らなかったとは言え、悪かった!!

 ユーリ、許してくれないか!」


 ユーリはレオンに後ろから抱きしめられながら、ウソ泣きをしつつ、慌てて謝罪するフィルを確認した。


「(よし!

 記憶喪失の方がやっぱり良かったかぁ!


 これで、フィルさんも嘘を信じ・・・違う。

 ごまかせたか?)



 ・・・大丈夫!

 フィルさんは悪くない。

 私、大丈夫だから。」


 涙を拭きながら微笑みながらユーリはいった。


 そして、それを見た二人はキラキラとした表情で頭をなで回したり、強く抱きしめたりした。

 ユーリの心の中では(グッジョブ!私!)と叫んだ。



 その後、レオンが作ってくれた夕飯を三人で食べながら、フィルとレオンの話を中心にユーリのおじいさんと言う人の設定が確定していったのだった。



 老い先短い獣人族の人間嫌いのおじいさん。

 二匹の従魔を従え、ユーリを守るように生活をしていた。

 回復魔法や補助魔法が得意で、攻撃魔法が苦手。

 所謂、神官よりで補助魔法の上位魔法、他人の精神に作用する魔法を使える。


 そのため、ユーリの一年分の記憶がなく、人嫌いになった原因の一つだったという・・・。


 おじいさんの住んでいた場所も名前も不明なのは相当な人嫌いだから・・という結果となった。


(まぁ、本当は存在すらないんだけどね・・・。

 でも、ここまでリアルな創造をしてくれて二人には感謝しなきゃ・・・。

 これから聞かれて、これでなんかなりそうだし!


 記憶を消す魔法なんてあったんだな・・・。

 最悪、意識を戻したときに後頭部がすっごく痛かった。とか言いそうになったからな・・・。

 もし、そうなってたらレオンさんが怒りそう・・・・。


 ウソ泣きとかやってみたら意外と出来るんだな・・・。



 てか、どう考えて物凄く人間嫌いなじいさんになっちゃったな・・・。

 私が会いに来れないように名前も場所も記憶から徹底的に消すとか・・・。


 まぁ、いいか。

 本当に存在しない人だし、悪人ではないから・・・。

 私も森で盗賊に襲われた後から赤ん坊の声が聞こえて助けてくれた事になってたし・・・。)




 

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