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086 海竜の導き

「ふむ、やはり彼奴はザラキマクに向かっておるのか?それならば儂らも急ぎ街へ戻るとしようかのぅ」


「お願いします、あんなバケモノが街で暴れたらどれだけの犠牲者が出るか分かりません、一刻も早く皆を避難させないと」


『…えるか?人の子よ…我の声が聞こえるか?』


その時聞いた事のない声が頭に響いた、念話で話し掛けられる感覚だ、辺りを見回すが声の主らしき姿は見当たらない。


「ユイトさん?どうかしましたか?」


「いや、誰かに念話で話しかけられた様な気がしたんだけど…気のせいだったかな?」


「私には何も聞こえなかった、主さまの気のせい?」


『…人の子よ、突然驚かせてすまない、今姿を見せる、どうか警戒しないで欲しい』


『ユイト!何か来るわ!…下!?海中からよ!』


テミスが声の主の反応を感知した様だ、念話で知らせてくれる、狩猟神の耳飾りが反応しないと云う事はこちらに敵意を持っていないのだろう。


「!?なんだ、海面が盛り上がって…!こ、これは…か、海竜様!?」


海面が盛り上がり巨大な龍の顔が姿を現わす、デカい、あまりにも巨大だ、顔の大きさだけで俺達の乗る船の倍以上はあるぞ。


「人の子よ、驚かせてすまない…、私は其方らが海竜と呼ぶ存在、どうか落ち着いて欲しい」


「おおっ…なんと…あの姿はまさに…海竜様!儂は以前貴方様に命を救って頂いたものですじゃ!」


「私が命を…?あぁ、薄っすらと記憶にある、モンスターに襲われていた船を助けた事があるがその時の人の子か?」


「そうですじゃ、貴方様のおかげで儂は…いや儂らは命を救われました、いつかあの日のお礼を伝えたかったがまさか本当にお会いできるとは…本当にありがとうございましたじゃ」


海竜様の姿を見た船乗り全員が驚きで動けなくなる、ただ1人ブロスタさんだけが海竜様に話掛ける事が出来た、海竜様に深々と頭を下げるブロスタさん、海竜様はその姿をしばらく見つめ口を開いた。


「…礼には及ばぬ、元より魔の者から人を守るが我が主から与えられた使命故、我はその役目を果たしたまでよ」


「主?…やはり海竜様が神様の言っていた眷属だったのか?」


「ユイトさん、この海竜さんから私達の仲間の気配を感じます!」


「其方らが主の言っていた異界の剛の者か…どうか我に力を貸して欲しい、魔の者が人の子らの街を滅ぼさんとしている…」


「はじめまして海竜様、俺はユイトって言います、魔の者って…遠くに見える人影の事ですか?」


「然り、アレを創りし者と共に人の子の街へと向かっている、詳しくは道すがら話そう、我の頭に乗ってはもらえんか?」


海竜様はその頭を船へと寄せる、俺達に乗れと云う事だろう、聞きたい事は沢山あるが今はザラキマクの街を救う事が第一だ、まずはあの人影をどうにかしないとな。

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