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085 巨影

縄梯子を登るとそこは2、3人程が立つ事のできる見張り台になっていた。


「おお、救世主の兄さんが来てくれたか、すまんのぅ、ほれあっちの方角じゃ」


見張り台にいたお爺さんから望遠鏡を受け取り指差された方角を見る、水平線の彼方に小さく何かがあるな。


「ん~、なんだろう…?まさか…人?おーいテミス、ちょっと上がって来てくれないか?」


水平線に見える影は人の形をしている様に見えた、しかし距離が遠すぎてはっきりとはわからない、俺達の中で1番索敵能力の高いテミスに確認してもらおう。


「よいしょっと…どうしたの?何か問題かしら?」


「すまないな、ちょっとテミスに確認して欲しいんだ、あっちの方に見える影が人の形に見えるんだけど…」


「人の形?こんな沖の海上に人がいるの?ありえないわよ」


「そう思うんだが…まぁ兎に角確認してくれよ、はい、望遠鏡だ」


テミスは望遠鏡を受け取ると人影の見えた方角を見つめる、しばらくするとテミスの身体がピクリと動いた。


「ユイト…アンタの言う通りだわ、人の形をしてる、それにあの人影に意識を向けて分かったんだけどアレからは邪悪な気配を感じるの、強い力を持ってる」


「邪悪な力だって?もしかして魔族か?」


「いえ、どちらかと言うと偽核だったかしら?アレに似た禍々しい気配を感じるの、どちらにしてもろくなモンじゃないわ」


「分かった、少し調べてみる必要がありそうだな」


「ねぇユイト、私の気のせいだと良いんだけど…、もしかしてアイツはザラキマクの方角へ向かってるんじゃないかしら…」


「なんだって!?だとしたらかなりマズい、お爺さん!ザラキマクの方角は分かりますか?」


見張り台にいたお爺さんはポケットから方位磁針と海図を出し望遠鏡を覗くテミスと人影の進む方向を確認し始める、俺は甲板へ戻ると皆へ人影の事を報告した。


「ふむ…その様な事があったのか、もし街へと向かっているなら早く戻って住民を避難させんといかんの」


「ええ、今見張り台でテミス達が進行方向を確認してくれてます、ザラキマクへ船を戻してください、用心に越したことはありません」


「戻るべき、竜神岩は逃げない、皆の安全が第一」


人影は水平線の彼方にいるにも関わらず望遠鏡で視認できた、恐らくとんでも無い巨体の持ち主だろう、そんなモノが街に到着すればどれだけの被害になるか分からない。


『ユイト、お爺さんが言うにはあの人影十中八九ザラキマク方面へ向かってるそうよ』


『わかった、今ブロスタさんに船を港へ戻す様にお願いしてる、テミスは引き続きヤツの監視を頼む』


嫌な予感がする、テミスの感じた偽核の気配、あの人影には魔族が絡んでいると思って間違いないだろう。

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