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07 アルフとベータ

翌朝俺達は3人でベータさんの家に向かった、リザードマンの巣の心当たりを教えてもらう為だ。


「おおユイトさんにサクヤちゃん、何か用ですかいっ…てなんでテメェも一緒にいる?街に帰りやがれ!」


出迎えてくれたベータさんはアルフさんの顔を見ると急に不機嫌になった。


「ベータさん、アルフさんの話を聞いてもらえませんか?リザードマンの巣の心当たりを教えて欲しいんです!私からもお願いします!」


サクヤが頭を下げる、ベータさんは少し考えていた様だが諦めた様に溜息をついた。


「サクヤちゃん…村の恩人に頭を下げられちゃ仕方ねぇ、とりあえず家に入ってくだせぇ、お前もだアルフ」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「お前の考えている通り俺はヤツらの巣について心当たりがある…がその前に聞かせて欲しい、アルフ、お前はシータの、母さんの敵討ちを考えてるんじゃねぇか?」


ベータさんがアルフさんの目を見つめる。


「父さん…確かに最初はそうでした、昔冒険者だった母さんはリザードマンに攫われた僕を助けようとしてヤツらに殺された、命掛けで僕を逃してくれた」


「それはお前のせいじゃねぇ、アイツは自分の守りたい物を守って死んだんだ、昔から自分に素直な跳ねっ返りだったからな」


ベータさんが優しい顔になる、亡くなった奥さんの事を思い出しているのだろうか。


「僕は強くなりたかった、強くなってヤツらを1匹残らず殺してやろうと思った、だから村を出て冒険者になった」


悲しそうな顔でアルフさんは話を続ける。


「冒険者になって大切な仲間達が出来たよ、仲間達と過ごす冒険者としての日々は楽しかった、そんな毎日が続いてる内に自分の中でヤツらへの憎しみが段々と薄れている事に気付いたんだ、そして母さんの事を忘れ毎日楽しく過ごす自分が心底嫌になった、なんて薄情な人間なんだってね」


「馬鹿野郎!!シータがそんな事を望んでるわけがねぇだろう!!!」


アルフさんがふっと笑う。


「そんな僕を見て今の父さんみたいに怒ってくれた仲間がいたんだ、『あなたはもっと人生を楽しむべきだ、わがままに生きていいんだ』ってね」


「アルフ…」


「だから僕のワガママを聞いて下さい!僕の大切な人達がヤツらに殺されるかもしれないのに大人しく待っていたくないんです!」


2人は無言で見つめ合い部屋は暫くの間静寂に支配された、やがてポツリとベータさんが話はじめる。


「俺はてっきりお前がまだ復讐の為に生きていると思っていた、復讐に取り憑かれたヤツは自分の命を軽く考えるが今のお前は違う様だな、良い仲間に恵まれて良かった」


吹っ切れた表情になったベータさんは棚から折り畳まれた一枚の地図を持って来た。

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