幕間 家族へ
夜、とある宿屋で1人の男が手紙を書いている、その男は誰もが羨む様な美しい容貌であった。
『愛しい家族へ
ストーク、カナリー、ガル、元気にしているか?父さんは今王都の宿屋でこの手紙を書いている。
長い間留守にするつもりは無かったんだが少し予定が変わってしばらく村に帰らないかもしれない、まずはその事を謝りたい。
あまり詳しい事は言えないが最近物騒な連中があちこちで悪さをしているらしくそいつらの退治を王様から直々にお願いされたんだ、お前達に会えないのは辛いが困っている人達を助けてあげたい、わかってくれると嬉しい。
ガル、出発する時にも約束したが父さんが留守の間お姉ちゃんとお母さんを守ってあげてくれ、頼んだぞ。
カナリー、ガルの面倒を見て母さんを支えてあげてくれ、お前は優しい子だ、ドジなのが玉に傷だが自慢の娘だ、村の男どもに言い寄られたら帰った時に名前を教えて欲しい、父さんがソイツらとお話ししたいからな。
最後にストーク、無責任な夫ですまない、家族をほっぽり出して旅に出た俺の勝手を許してくれてありがとう、お前が妻じゃなかったらこんな事は出来なかった、俺にはもったいない奥さんだよ。
父さんは何があっても必ずお前達の所へ戻る、だから家族みんなで助け合って無事でいてくれ、勝手ばかりの父さんとの約束だ、それじゃあまた手紙を書くよ。
追伸
ストーク、この先はお前1人で読んでくれ。
世界は今かなりマズイ事になっている、もう一枚の手紙に詳しい事を書いているからフェザントのヤツと一緒に読んでくれ、パフィン村を捨て村人みんなでどこか大きな街に移るんだ。
2人の子供を頼む、お前を愛してるよ。』
手紙を書き終わった男の部屋を誰かがノックする。
「入るぞー、なんだオウル?家族への手紙か?」
「覗くなよシグマ、プライパシーの侵害だ、それより例の魔族達の居場所はまだわからないのか?さっさと片付けて家族に会いたいんだ」
「あぁ、その事で来たんだがな…」
夜の宿屋の一室で2人の男の話は遅くまで続いた。




