06 リザードマンの異変
赤髪の青年、アルフが村人の中から俺達を見つけ近づいてきた。
「君達がユイト君とサクヤちゃんだね?僕はアルフ、隣のブラーゴの街で冒険者をやっている、この村を救ってくれて本当にありがとう」
アルフさんは俺達に向かって深々と頭を下げてきた、礼儀正しい人だ。
「いえ、俺達も村の皆には良くしてもらっています、さっきの話なんですが良かったら俺達にも教えてくれませんか?」
「そうだね、良かったら何処かで落ち着いて話をしたい、君達が間借りしてる集会所に行ってもいいかい?」
俺はアルフさんの提案に頷いて集会所に向かった。
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「1ヶ月くらい前からかな?急にギルドにリザードマン討伐の依頼が増え始めたのは、それが僕が覚えている限り最初の異変だったと思う」
サクヤの入れたお茶を飲みながらアルフさんが話す。
「そして2週間前にブラーゴの街にリザードマンの大群が押し寄せてきたんだ、僕達冒険者と騎士団とが協力してなんとか撃退する事ができた」
「今までリザードマンが街や村を襲う事は無かったんですか?」
「あぁ、前代未聞だ、ヤツらは基本10匹前後の群れで行動する、大群で街や村を襲う事なんて無かった、ベテランの冒険者達もそんな話は聞いた事が無いと言っていたよ」
先日イール村を襲った群れは300匹はいたと思う、半分以上は俺とサクヤで始末出来たが残りは逃走して行った。
「話を戻すね、そして2日前騎士団の偵察隊からイールの村がヤツらの群れに襲われたって話を聞いて急いで帰ってきたんだ、村に着いて驚いたよ、皆に話を聞いて回るとたった2人の旅人が群れを追い払ったって話だったからね、それにこんなに若い子達だとは思わなかった」
今の俺の姿はVRMMOのアバターの姿そのままだ、黒髪青目の剣士、10代後半に見えているだろう、サクヤも年齢はわからないが見た目は俺と同じ位だ。
残ったお茶を全て飲み干してアルフさんは俺達を真剣な目で見つめた。
「僕は仲間達と一緒にリザードマンの巣を攻めようと思っている、そこで2人にお願いがあるんだ、父さん…村長にヤツらの巣の場所の心当たりを聞いてほしい、この辺りの地理に一番詳しい父さんなら大体の目星を付けていると思う、村の恩人の頼みなら無下にはできないだろう」
アルフさんは立ち上がって深く頭を下げてきた、俺もこの村や村の皆が大好きだ、サクヤも村人達に餌付けされて懐いている、この村の脅威を取り除く事がでくるなら協力したい。
「わかりました、明日一緒にベータさんの家に行きましょう、ただし条件があります、巣には俺も連れて行って下さい」
「もちろん私も付いていきますよ!皆でトカゲ退治です!」
サクヤが椅子から立ち上がり拳を掲げる、やる気は十分な様だ。
「君達…本当にありがとう」
アルフさんは再び頭を深く下げた。