059 黒い魔核
魔核がモンスターを動かす、そんな話は聞いた事が無い。
アイロンスティールにいた時にタリアムから魔石や魔核について少し話を聞いた、魔石から魔力を抽出した結晶が魔核、魔核は魔道具を動かす動力源として様々な用途に使用される物だ、それがモンスターを動かす原動力としても使えるなんて話は聞いた事がない、第一黒い魔核なんて初めて見る。
「考え事をしている場合じゃ無かったな、テミス!感覚を集中しろ!コイツらには弱点が有る!」
俺は切断された黒い魔核を手に取りテミス達に見える様に掲げた。
「敵の攻撃は全部防いでみせる、2人は攻撃に集中するべき」
「わかったわ!サクヤ、あいつらをこんがり焼いて頂戴!トドメは私に任せて!」
「わかりました!『鬼火弍式』!今です!テミスちゃん!」
サクヤが放った無数の小さな火球が土人形達を焼き表面がボロボロと崩れ落ちる。
「これで弱点の反応が分かるわ『ウィンドスピア』!」
テミスが腕を振ると風の槍が土人形達に突き刺さった、崩れた土人形達は弱点を貫かれた様で復活する事は無かった。
「弱点が分かれば怖くはない、ここだ!」
狩猟神の髪飾りの効果か俺も意識を集中させると弱点らしき反応を感じ取ることができた、反応目掛けて咲夜を振り下ろす。
「手応えアリ、だな」
テミス達の方も連携して確実に土人形の数を減らしている、俺も負けてはいられない。
弱点らしき黒い魔核を破壊された土人形は起き上がって来ない、土人形達は一体、また一体とその数を減らしやがて全ての土人形の破壊に成功した。
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「結局コイツらはなんだったんだ?少なくとも生物じゃあなさそうだが…」
「判らないわ、呪いの発信源を守る守護者みたいなモノかしら?」
「ユイトさん、残骸を調べてみたけどやっぱり魔石はありませんでした、有ったのはこれだけです」
サクヤは手に持っていた黒い魔核を俺に手渡して来た、先程の物と大きさもほぼ一緒だ、テミスの攻撃で中心から大きな亀裂が走っていた。
「モンスターとも違う、不思議」
「兎に角今は呪いの発信源へ向かおう、コイツは誰か詳しい人に渡して調べて貰うしかないな」
「そうね、発信源はもうかなり近いわね、時間が掛かるとそれだけ悪影響がでるわ、先を急ぎましょう」
俺は手に持っている黒い魔核をアイテムバッグに入れる、呪いを仕掛けた魔族と思わしき犯人の事も気になるが今は確実に出来る事から問題を解決していこう。




