幕間 ライムブラスの花言葉
「あ~っ!もう!結局渡せなかったじゃ無いの!」
私はアトリエに帰りついた後自分の意気地のなさに自己嫌悪していた、徹夜で書いた手紙をくしゃくしゃにしてゴミ箱に投げ捨てる。
『拝啓、親愛なるユイト様
この手紙をアンタが読んでいるって事はちゃんと渡せたってことよね?結構苦労して書いたんだから最後まで読んで頂戴。
まずは…そう、感謝するべきよね、アンタ達が居なかったら今頃私は死んじゃってたわ。
先生の研究を続けられるのもアンタ達のおかげ、私1人だったらバカ領主に嫌がらせされた時点で諦めてしまっていたかも知れない、偶然あの場にアンタ達がいてくれて良かったわ、これって運命ってヤツじゃないかしら?
ユイトはバカ領主やリードを殺した事を悔やんでいたけど私は感謝しているの。
慰めにならないかも知れないけどアイツらがあのまま生きていればそのせいで死んでしまう罪のない人が何人、何十人もいたと思う、アンタはそんな人達を助けたのよ。
それにその…私を助けに来てくれたアンタはかっこよかった、絵本にでてくる王子様みたいだった。
内緒にしとけってサクヤとアイギスには言ったけど私本当はアンタ達の旅に付いて行きたかったの、今は無理だけど転移魔法陣の研究が終わったらきっとアンタ達に追いつくからその時は一緒に連れて行ってよね。
アンタ達に渡したブローチ、ライムブラスの花言葉って知ってる?
『いつかまた、会いましょう』って意味なの。
恋人達が離れ離れになる時に送る花なんだけどアンタこの花が好きだって2人に聞いたからこの形にしただけよ、別に深い意味はないわ、本当よ。
それじゃあひとまずお別れね、次にアンタ達に会えるのを楽しみにしてるから。』
「初恋、だったのかなぁ?」
自嘲気味に私は呟く。
違う、まだ私の初恋は終わっていない、何を弱気になってんのよ!
「そんな事より研究よ研究!早く終わらせてアイツに会いに行くんだから!」
私は机の上に山積みにされた書類の山と格闘を始めた。
※追記
本日遂にブクマ100件を達成しました( ;∀;)
丁度キリの良いところでの達成だったのでとても感慨深く思っております。
本編はまだまだ続きますので引き継き御愛読よろしくお願いします。




