04 村の朝
「んふ〜もう食べられません」
目が覚めるとテンプレな寝言を口にしながら隣でサクヤが寝ていた。
イール村での宴は夜遅くまで続いた、俺達はそのまま集会所で寝てしまった様で体には毛布が掛けられていた、村人の誰かが掛けてくれたのだろう。
「おはようございやすユイトさん、良く眠れやしたか?」
村長のベータさんが集会所に入ってくる、どうやら朝食を持って来てくれた様だ。
「おはようございます、昨晩はありがとうございました、どの料理もとても美味しかったです」
「何をおっしゃいます、ユイトさん達がいなければこの村は今頃リザードマン達に皆殺しにされてやした、村の者達も皆感謝してやす」
ベータさんの持って来てくれた朝食の匂いに反応したのか鼻をヒクヒクさせサクヤが目を覚ました。
「おはよーございます、いい匂いですね〜お腹がすいてきます」
苦笑いしながらベータさんがサクヤにも朝食を勧める、さっきの寝言は何だったんだよ?
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「この辺りはリザードマンが多いんですか?俺達もこの村へ来る途中に何度か襲われましたが」
朝食をご馳走になった後、俺達は頼みたい事があると言われベータさんの家に招かれていた。
「いや、少し前から突然異常な数のリザードマンが発生しているみてぇです、ブラーゴの街もヤツらの襲撃を受けてこちらまでは騎士団も手がまわらねぇ様でして」
ふーむ、モンスターの大量発生ねぇ、しかも好戦的なヤツらだし住民達にとっては死活問題だな。
「そこでお願いなんですが暫くこの村の用心棒をやっちゃあもらいやせんか?お礼はあまり用意できやせんが…」
深々と頭を下げるベータさん。
「俺は別に大丈夫ですよ、サクヤもそれでいいか?」
「私はユイトさんに付いて行くだけです、もちろんOKですよ」
どうせ俺達は金も無ければ行く宛もない、ベータさんの申し出は俺達にとっても魅力的だった、滞在中に今後の方針を決める為の情報も集めておきたい。
「おおっ!ありがとうごぜいやす、最近依頼を出したんでそろそろギルドから冒険者が来てくれると思うんでやすが…」
「俺達も今のところ特に目的も無く旅をしているだけですので宿と食事を提供して貰えれば報酬は必要ありません、もちろんコイツには自重させます」
隣を見ると出されたお茶菓子を頬張ったサクヤが頭の上に「?」を浮かべて俺の分ものお菓子も狙っていた。
そういうとこだぞ。