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346 ルナの申し出

「アンタは一体…いや今はそんな事はどうでもいい!今の内に下敷きになってる兄ちゃんを引きずり出すんだ!」


倒壊した家屋に集まっていた男達が建物の下敷きになっていた若者を引っ張り出すのを確認して持ち上げていた瓦礫から手を離す、中に生物の気配が無いかを探るがこの若者以外には何の反応も無かった。


「まだ中に親父とお袋が…助けてあげて…ゴブッ!」


「喋らないで下さい…もう大丈夫ですから」


生命の指輪の力を発動し若者の傷口に手をかざす。青ざめて死人の様になっていた若者の顔が少しず赤みを取り戻し荒かった呼吸が穏やかになっていく。


「兄さん…アンタ回復魔法を…いや、それにしたってこんな死にかけてた人間が一瞬で…」


「この人を何処かゆっくり休める場所に連れて行ってあげて下さい。残念ですけどこの建物の中にはもう生きている人は…」


助け出した若者は気を失う前にまだ両親が建物の中に残されていると言ったが俺には何の反応も探知する事は出来なかった。

俺がこの場に来る前に息絶えてしまったのだろう…1時間でも早く俺がアレプデスに到着出来ていれば或いは生命を救う事が出来たかも知れない。

悔しさに押しつぶされそうになるが反省や後悔は今やる事では無い、とにかく今は行動あるのみだ。


『大変よ!ユイト!ドラゴンが…ドラゴン達が移動を開始したわ!真っ直ぐこっちへ向かってる!』


不意に頭の中にテミスの声が響いた。最悪だ、まだ街中に救助できていない住人がいるのに再びドラゴン達はアレプデスを襲撃しようとしている。

今まで見てきたアレプデスの兵士達は皆疲れが溜まっている様子だったし怪我人も多い、ここは一旦救助を切り上げてドラゴン達を食い止めなければ街は更なる地獄と化してしまう。


『わかった、今すぐそっちに向かう。残念だが俺がドラゴンを食い止め無いと取り返しのつなかい事になりそうだ』


『ふむ…ユイトよ、余に少し考えが有る。ドラゴン共の相手は余に任せてはもらえんか?』


『ちょっとルナ!アンタ何言ってんのよ!?今はアンタの厨二病に付き合ってる場合じゃないのよ!?』


『余とて伊達や酔狂でこの様な事を言っておるのではない。人命の掛かっておる状況で冗談を言うたわけではないぞ』


ルナの雰囲気がいつもと違う、きっと本当に何か考えがあっての申し出だろう。この襲撃をルナが食い止めてくれるなら俺はその分住民の救助に集中する事ができる。


『ユイト、余を信じて欲しい。必ず此度の襲撃はなんとかしてみせる。其方には1人でも多くの命を救って欲しいのだ、頼む』


『わかった…その代わり約束してくれ。もし少しでもムリだと思ったら変な見栄を張らずにすぐに俺を呼ぶんだ』


『約束する、あの空飛ぶトカゲ共に余の闇の力を見せつけてくれようぞ!』

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