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345 我武者羅に

崩れた家屋の下敷きになった家族、戦いで瀕死の重症を負った兵士や冒険者達。


先程の兵士達にメリッサを街の救護所へ案内する様に頼んだ俺はアレプデスの街を飛び回り生命の指輪の力で目に付く怪我人を片っ端から治療していった。


『聞こえるかしらユイト君?救護所に集められた人達は全員治療し終わったわ。でもまだ街中に救助が出来て無い人達がいるみたいなの…』


『あぁ、こっちは狩猟神の耳飾りで弱っている反応から助け出してるところだ。メリッサは兵士さん達の指示に従って1人でも多くの人を助けてくれ、頼んだぞ!』


流石はメリッサだ、兵士さんの話によると救護所には数百人規模で怪我人が集まってると言う話だったがもう全員治療が終わったらしい。しかし街のあちこちに弱い反応が集まっている場所が有る、きっと救護所は他にもあるのだろう。


『こちらテミス、今アイギスとルナと防壁の見張り台に到着したわ。遠くにドラゴンっぽい反応は有るけど動く気配はなさそうね。引き続き私達はここで待機するわ』


『今の街の状態で魔族やドラゴンに襲われたたら間違い無く全滅してしまう、もしほんの少しでも奴らに動きが有ったらすぐに知らせてくれ。1秒でも早く避難できればそれだけ助かる人が増えるからな』


『アンタも万が一に備えて力は温存しときなさいよ。もしもの時にアンタが戦え無かったら話になんないからね』


俺はテミスの忠告に返事が出来なかった。確かにテミスが言う通りだというのは理解しているが街のいたるところに消えてしまいそうな命が有る、力を温存すると言う事は助けられる命を見捨て事に繋がる。


次に襲撃があった時に俺が戦えなければ多くの命が失われるだろうが目の前の命を一つでも見捨てる事はしたくない。二者択一、どちらも完璧にこなす事など出来はしない。


『ユイトさん…テミスちゃんの言った通りです。でも…』


『分かってる…サクヤ、今から俺はとんでも無く無責任で頭の悪い事を言うぞ…』


今俺の目の前では倒壊した家屋に潰されて今にも死んでしまいそうな若い男性を助けようと数人の男達が必死に瓦礫を動かそうとしている。

しかし瓦礫はびくともしない、このままでは間違いなくこの男性は助からない。


「後の事はその時に考える!今俺がやるべき事は…全力で自分に出来る事をやるだけだ!!」


瓦礫に手をかけ力任せに持ち上げる。鬼神化で100倍の身体能力になっているからこそ出来る芸当だ。周りの男達は突然の出来事に動きを止め俺の姿を呆然と見つめている。


「今の内にその人を引っ張り出して下さい!治療は俺がしますから!早く!」


大声に驚いた男達は大急ぎで下敷きになっていた男性を瓦礫の外へと引き摺り出した。

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