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332 下山

「よーし皆荷物は纏めたか?まだアイテムバックに余裕はあるから重い物が有るなら俺に言ってくれ」


「私達の荷物は既に殆どユイトさんに預けてるから大丈夫です。アンちゃん達は大丈夫ですか?」


「えぇ、私達の荷物もシグマがアイテムバックに預かってくれたから問題ないわ。それにしても便利な道具よね、今まではどれだけ荷物を減らせるか色々と苦労したものよ」


「俺達はアイテムバックのある旅に慣れちまったから今じゃコイツ無しってのは考えたくねぇな。お前さん達も街に着いたら一つ買ったらどうだ?金なら俺が出してやるからよ」


ぽんぽんと自分のアイテムバックを叩き自慢気にするシグマさん。ドラゴンロックの様な人里離れた過酷な場所へ旅する時には本当にアイテムバックは頼りになると今回改めて思い知らされた。


「本当?そこまでアンタ達に甘えていいのかしら?ほら、私達も一応魔族な訳だしいつアンタ達を裏切るかわかったモンじゃないわよ?」


「がはははは!本当に裏切りを考えてるヤツは自分からそんな事は言わねぇさ。人間だ魔族だなんて細けぇ事は気にするな、俺は鬼族だしオウルはエルフ、凸凹パーティ上等ってもんだよ」


「君達が裏切る様な連中ならカイトとの戦いの時に既に裏切っていただろう。流石にあの状況で君達三人が敵に回っていたら僕達は今頃生きてはいない。もう君達三人は仲間だ、陛下にも君達を捕らえたりしないよう嘆願の手紙を出してある、それに…もし君達がそんな目に遭えば黙っていないお姫様もいるしね」


チラリと横目でオウルさんがレイを見つめる。自分に話が振られた事を理解したレイは笑顔でアンに近づくとその手を握りしめた。


「ちょっ!い!いきなりどうしたのよ!?」


「ふふふ、照れないで下さい。貴女達はもう大切な仲間です。もし父上が貴女達を捕らえようとしたら私は全力で貴女達を守りますわ」


「…あんがと。私もアンタ達に何かあったら全力でアンタ達を守るわ。その…あーっ!こっぱずかしいたらありゃしない!真顔でこんな事言わせんじゃないわよ!」


「はっはっは!アンのヤツ照れてやがるな、もちろんウチだってアンと同じ気持ちだよ。これからもよろしくな」


「あれあれ?ドロシーちゃん?昨夜シグマさんに気持ちを伝えるって私に相談してきたけど今がチャンスじゃないかしむぐぐ…うぐっ!」


「アホ姉貴!その事は誰にも言うなって言ったじゃん!あはははは!なんでもないよ、本当に何でもないからね!」


何か言いかけたトロンの口を塞ぎながらドロシーが胡散臭い作り笑いを浮かべる。仲の良い姉妹だな。


「クェーッ!クェーッ!」


その時和やかな空気を切り裂く様に鋭い鳴声をあげながら一羽の鳥が俺達の元へと舞い降りて来た。

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