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327 闘争

鼓膜が破けそうな程の轟音と辺りに降り注ぐ岩。ドラゴンロックの山頂が弾け飛ぶ。


「私の近くに集まって!このままじゃ皆岩の下敷きになってしまう!」


すぐ側にいたアイギスが声を張り上げる。あちこちから空を飛べずに逃げ遅れたドラゴン達の断末魔が聴こえてくる。皆が慌ててアイギスのシールドの中へと避難した。


「アレが…邪竜ルシオン…」


弾けて無くなった山頂の上に浮かぶ一つの影。離れていても分かる、あまりの禍々しさに無意識の内に言葉が漏れてしまう。


「ダーリン…あのドラゴンに偽神様が宿っているの?何か様子がおかしい様だけど…」


「偽神は間違い無くルシオンの中だよ。でも確かに変だ、どうやら偽神とルシオンが身体の支配権をかけて戦ってるみたいだ。流石は伝説の邪竜、偽神の支配に抗うなんて普通の存在じゃないね」


カイトが宙に浮くルシオンを見つめながら唾を飲む。偽神が完全にルシオンを乗っとれていないならまだどうにかできるかも知れない。ボロボロの身体に鞭を打ち神靴ヘルメスの力を発動させようとしたその時、誰かが俺の肩を掴んだ。


「ユイトさん、何を考えてるんですか?今のユイトさんに出来る事はありません」


「離してくれサクヤ。今ならまだアイツを倒す事が出来るかもしれないんだ」


「そんな身体で立ち向かっても無駄に命を落とすだけです。お願いです…今は生き残る事だけを考えて下さい」


「サクヤちゃんの言う通りだぜ。あれは今の俺達にどうこう出来る存在じゃない。悔しいが今は我慢するんだ」


シグマさんも反対の肩を掴み俺を行かせない様に制止する。2人を振り解こうとしたが身体に力が入らない。


『ククク…愉しいな封じられし邪竜よ。堕ちたとはいえ流石は創造神の加護を受けし者。こうも我の支配に抗うとはな。さぁこの身体を賭けた闘争をもっと愉しもうぞ』


『貴様は何者だ…私の中に入ってくるな!許さぬ!許さぬぞ!人間共の前にまずは貴様を滅してくれるわ!』


宙に浮かぶ邪竜から声が聞こえてきた。正確には声では無い、頭の中に直接念話の様に聞こえて来る。


「何なのですかこの声は…直接頭に響いて来ますわ」


「ウチら魔族には分かる、これは…この声は偽神…様の声だ。殺される、この場にいる全員殺されてしまうよ!」


普段は気の強いドロシーがガクガク震えながら今にも泣き出しそうな声で叫ぶ。ドロシーだけでは無い、アンとトロンも様子がおかしい。どうやら偽神の存在は魔族にとっては絶対的の様だ。


『邪竜よ、まずは貴様との闘争を存分に楽しみたい…貴様の全存在を賭けて抗ってみせるが良い!』


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