320 後少し
頭を抱え悶え苦しむもう1人の俺の姿がスクリーンに映し出される。どうやらこの作戦は思った以上に効果があった様だ。
「ヤツの力が弱まっているのを感じる。これならアイギス達が力を合わせれば破邪の短刀を俺の偽核に突き刺す事ができる筈だ」
「えぇ、今の私達に出来るのはウンと楽しい事を考える事だけです。皆さん!偽物のユイトさんなんかやっつけてしまって下さい!」
サクヤの声が届いたのかは分からないが悶え苦しむもう1人の俺を見たアイギス達が顔を見合わせて頷き合う。
「テミス、今のニセユイトからはさっきみたいな脅威を感じないわ。今がチャンスよ」
「うん、なんだか知らないけど苦しんでるみたいだ。やるなら今しかないね…疾風迅雷!!」
ルメスが全身に雷を纏い宙へと飛び上がる。もう1人の俺が弱体化している今ならルメスのスピードで翻弄する事が出来るだろう。
「ちょい待ち。何があるか分からないから気をつけるべき。私の新技をルメスに掛ける、エンチャントシールド」
「ボクの身体の周りに光の幕が?アイギス、一体何をしたの?」
「これで私から離れてもシールドの効果でルメスを守れる。でも一回だけしか効果は無いから過信は禁物、避けられる攻撃は避けるべき」
「ならば余の幻影にも光の膜を纏う様に反映させよう。ルメス、貴奴は先程の様に幻影を仕留めても油断はせぬだろう、心して掛かるのじゃ」
「ルメスちゃん、もし怪我をしても私が必ず治してみせるから…ユイト君を元のユイト君に戻してあげてね」
仲間達から激励の言葉を貰ったルメスは微笑んだ顔で軽く頷くと目で追えない速度でもう1人の俺へと近づいてくる。周囲にはルナが創り出した無数の幻影も一緒だ。これではどれが本物なのか分からない。
「何故俺の邪魔をするんだ主人格サマよぉ!?テメェだって心の底じゃこの力を使って暴れ周りたいって思ってるんだろ!?」
滅茶苦茶に咲夜を振り回し近づいて来るルメスを攻撃するもう1人の俺。先程までの圧倒的な力は見る影もない。しかしそれでもヤツの攻撃で1人、また1人とルメスの幻影は消されていく。
「ハッハ!いいぜ!テメェがとことん俺の邪魔をするってなら今度こそこの女の首を跳ね飛ばしてやる!そうすればお前は絶望して俺の力は元通りだ!」
今のところヤツの攻撃は本物のルメスを捉えて無いが次々と幻影が消されていく。このままで本物のルメスが捕捉されるかどうかは運任せだ。あと少し、あと少しだけヤツの動きを鈍らせる事ができれば。
「私達の事も忘れないで欲しいですわね!ライトニングクラッシュ!!」
「アホ王女!アンタまた勝手に突っ込んで!もう!行くわよ!デーちゃん!姉さん達!」




