296 SSR
「さて、これで武器は鬼ぃさんと一緒だね。どうせだから他の装備もお揃いにしちゃおうかな?」
「お揃いにする?お前も俺と同じSSR装備をこの世界に持ち込んでいたのか?」
「僕はMMORPGに存在したほぼ全ての装備品を持ってるんだ。プレイヤー達に望まれなかった装備品をね」
「SSRなのに望まれない?意味がわからないぞ」
「その答えはまたいつか教えてあげるよ。ふむふむ鬼ぃさんの装備品は…神甲アイギスに月下の外套と…」
カイトが俺の装備品を見つめその名前を呟く。MMORPGに存在するほぼ全てを持っている事は本当なのだろうか。それにそんな数の装備品をどうやってこの世界に持ち込んだのかも分からない。
「お待たせ。これで他の装備品もお揃いだね。それにしても凄く考えられた装備だね、関心しちゃうよ」
「人が一生懸命考えた装備を真似するな。装備品を真似したくらいで俺に勝てると思ったら大間違いだぞ」
カイトの言っていた事は本当だった。咲夜を取り出した時と同じ光がカイトの全身を包みあっと言う間に全身に俺と同じ装備品を身に纏う。
「それは闘ってみないとわからないよ?案外すぐに鬼ぃさんの泣き顔が見れたりして」
「言ってろ、それじゃ始めるか!」
カイトがヘラヘラした笑顔で俺と向き合う。余程実力に自信がある様子だ。ここは先手必勝、俺は咲夜を振りかぶり一瞬で間合いを詰めた。
「わわっ、いきなり斬りかかってくるなんて卑怯じゃない?」
「装備を揃えるまで待ってやったんだ。これくらいガタガタ言うな」
焦った様な事を口にするがしっかりと俺の一撃を防ぐ。並の相手だと今の一撃で仕留められているのに大した腕だ。
「こうやってるとMMORPGでのPvPを思い出すよ。こう見えても月間ランキングで100位にランクインした事もあるんだ。甘くみないで欲しいな」
「へぇ、中々凄いじゃないか。だが俺は…ランキング1位の常連なんだよ!」
「え?ランキング1位って鬼ぃさんまさか…へぶっ!?」
お互いの武器を合わせ硬直していた状況でカイトの鳩尾に膝蹴りをお見舞いする。完全に油断していたカイトの体勢が崩れる。
「吹っ飛べ!旋風!」
「うわぁぁぁぁぁっ!!」
体勢の崩れたカイトを旋風で吹き飛ばす。今のはまともに入った筈だ。カイトはなす術もなく大空洞の壁目掛け弾け飛んでいった。
「…まさかこの程度か?確かに弱くは無い、弱くはないけど…」
正直拍子抜けだ。もしこれがヤツの本気だとすればゲルトの方が遥かに手強い。