02 風車を目指して
トカゲ人間達を倒した後俺たちは警戒しながら周囲を散策する、見渡す限り続く草原の遥か遠くにポツリと風車の様な人工物を発見できた。
「よし、ひとまずあの風車を目指そう、多分人が居る」
「お腹空きました、村が有ればご飯が食べられますね!お腹ぺこぺこです」
「干し肉ならあるけど喰うか?」
「食べます!」
インベントリから干し肉を出す為にメニューを開き所持品の欄に目をやると急に文字がグネグネと動きはじめる。
「なんだ!?どうなってる!『クローズ!』」
慌てて閉じようとするが反応しない、それどころか表示された文字が少しずつ消えていき…やがてメニュー画面そのものが消滅した。
「マジかよ…これからどうすれば良いんだ?」
予備の装備や消耗品、全ての所持品を失い得体の知れない世界で素寒貧なった俺は絶望感に支配されその場に座り込む。
「大丈夫ですよユイトさん、私がいるじゃないですか」
サクヤが落ち込んでいる俺の頭を撫でてくれた。
「そうだな、弱気になってしまってた、ありがとうなサクヤ」
俺は1人じゃない、それにナイアルの世界で身に付けた剣術スキルは問題無く使える様だ、この世界を生き抜いていくには大きな力になってくれるだろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
2人で風車を目指しひたすら歩く、風車が近くなると意外と大きな集落である事が分かった。
途中でまたトカゲ人間に襲われた、10匹程度の群れだったが脅威ではない、咲夜を抜き真空波を放つ度に2匹、3匹とその数を減らす、サクヤもひらひらと舞う様に矢を躱しながら掌から火球を放っていた、火球が命中したトカゲ人間は一瞬燃え上がり黒焦げになる。
「ん〜どうですかね?ギリギリ食べられるかな?」
「いや、流石にキツいわ」
焼かれたトカゲ人間を涎を垂らしながら見つめるサクヤを引きずって少し歩くと整備された街道に出た、風車の集落に続いている様だ。
「疲れましたね〜、早くご飯が食べたいです」
「さっきからそればっかりだな、日が暮れる前に着けそうで良かった」
空はもうオレンジ色に染まっていたが目的地はすぐそこだ、村は周りを囲む様に木の杭が打ち込まれ城壁の様になっている。
しかし様子がおかしい、入り口らしき場所に人影の様なモノが蠢いている。
村はトカゲ人間に襲われていた。