027 ファームライノ
「狩り放題、いっぱいいる」
目の前に広がる荒野、ギルドマスターのガリアムさんに聞いたファームライノの生息地には想像以上の数がひしめいていた。
「これは…中々に凄いな、うぇ…ちょっと吐きそう」
「私…あのお肉は食べたくありません…」
食欲の化身サクヤから驚きの言葉が飛び出た。
それも仕方ない、ファームライノは共喰いをしていた、肉の色も黒ずんだ緑色で中々にスプラッタな光景だ。
「主さま、私が行く」
アイギスが1人テクテクと共喰い中のファームライノに近づいて行く。
ガリアムさんの話によるとヤツらの攻撃手段は強力な突進、アイギスには相性抜群の相手だろう。
「!?フゴッ!」
共喰いをしている内の1匹が敵の接近に気づく。
「かかってくるべき、ブタ野郎ども」
クイクイと指を4本曲げ挑発をするアイギス。
あらやだ、あの子どこでそんな汚い言葉覚えたんだろう。
「「「ブモーーーーー!!!」」」
言葉が通じたのかは分からないが3匹のファームライノが勢いよくアイギス目掛けて突進する、巨体に見合わないスピードだ。
しかしその破壊力が仇になる。
「【シールド】、展開」
アイギスの周囲にドーム型のバリアが展開される、3匹のファームライノが光の壁に接触した瞬間、「ボギッ」と鈍い音が辺りに響いた。
「ぶいっ、私の勝ち」
こちらを向いたアイギスがドヤ顔でVサインを決める。
アイギスの展開するバリアは俺の『イージス』と同じく破壊不能の絶対防御、アイロンスティールまでの道中ではバリアの中からサクヤが火球を放つ必勝パターンが確立された、敵にとったらクソゲーもいいとこだ。
「よし…解体して魔石を取り出そう」
「やっぱりグロいですね…」
息絶えたファームライノは衝突の衝撃で無残な姿になっていた。
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結局一日中ファームライノを狩り合計20個の魔石を手に入れる事が出来た。
途中から学習したのかヤツらは俺達から逃げる様になったのでキリのいい数で切り上げたのだ。
「いや~大漁でしたね、どの位になるか楽しみです」
「相場だと大体1つ金貨80枚くらいって話だったから1500枚を超えるな、ガリアムさんが金が出来たら宿に連絡するって言ってたからそれまでは情報集めをするか」
「主さま、アレ何?喧嘩?」
アイギスが指さした方をみると1人の女の子が身なりの良い男が何やら言い争いをしていたる。
「だ・か・ら!お金はあるって言ってるでしょ!何で私にだけ魔石が売れないのよ!」




