278 友達
アンのネクロマンサーの杖で強化されたデーちゃんと瞬身のレイピアの力を身に付けた私。力を合わせればきっとあのレッドドラゴンも倒す事が出来ます。私はある作戦をアンに伝えました。
「アンタ可愛い顔して結構エゲツない事考えつくわね、まぁ確かにその方法ならあのレッドドラゴンも確実に倒す事が出来るとは思うけど…」
「問題はこの方法にデーちゃんが耐えられるかどうかです。大丈夫でしょうか?」
「デーちゃんは冥界の住人。私の魔力が尽きない限り消滅したりする事はないわ、まぁその代わりデーちゃんのダメージを負った分私の魔力が消費されちゃうんだけどね」
「デーちゃんが余りにもダメージを負いすぎるとアンの魔力がカラになるかも知れないと云う事ですね…やっぱりこの作戦は辞めましょう、アンを危険な目に合わせる訳にはいきません」
基本的には魔力を使い過ぎても術者が命を落とす事は無いと言われています。しかしそれはあくまで普通に魔力が無くなった場合の話です。強力な魔法等で急激に魔力を使い過ぎて廃人の様になった魔法使いもいるという話を学院で聞いた事があります。
「何言ってんのよ、アンタだって危険を承知で戦ってるんでしょ?私だって戦場に立つ以上覚悟できているわ」
アンは少し怒った様な顔で私を睨みつけてきます。そうですわね、先程の発言はある意味アンに対しての侮辱でした。彼女だって戦士、戦いの場にいる以上命を賭ける覚悟は出来ているのです。
「ごめんなさい、貴女を侮辱する様な事を言ってしまって…」
「アンタに悪意が無い事は知ってるわ、さっきの言葉もアンタの優しさから出た言葉だって事もね…ただ私の事をもっと信じて欲しいの、その…私達…友達でしょ?」
「友達…そうですわね、友達の事は信じなくてはいけませんわ」
「小っ恥ずかしいのは辞め辞め!それじゃアンタの考えた作戦を始めましょ、タイミングはどうするの?」
パシパシと自分の頬を叩き気合いを入れたアンの表情が引き締まります、ここからは一発勝負。失敗は許されません。
「アンのタイミングに合わせますわ。私はいつでも大丈夫です」
「わかったわ、それじゃあ早速仕掛けるわよ…デーちゃん!そのドラゴンを力一杯空へぶっ飛ばしてあげなさい!」
「…オォォォォォォン!」
レッドドラゴンと格闘を繰り広げていたデーちゃんがアンの命令に反応します。滅茶苦茶に暴れ回るレッドドラゴンを強引に抱き抱えると自分の頭上へと力一杯に放り投げました。