276 ライトニングクラッシュ
ライトニングクラッシュ、私の技の中で最大の威力を持つ一撃必殺の光の塊がレッドドラゴンの頭部へ直撃しました。流石のレッドドラゴンにも効果が有った様で地面目掛けて真っ逆さまに落下していきます。
「思い知りましたか!?これが私達の力ですわ!…ってキャァァァァァァ!?」
迂闊でした、私が瞬間移動したのは空中だった事を忘れていました。落下していくレッドドラゴンを追う様に自分も地上へと落下していきます。
「は…早く瞬間移動しなくては地面に叩きつけられてしまいますわ」
落下の恐怖と焦りのせいか移動先を上手くイメージできません。レッドドラゴンに一撃お見舞いしたのにこんな間抜けな事になるなんて…
「!?な、何ですの!?わ、私は助かったのですか…?」
身体の落下が止まった感覚、瞬間移動で地上に戻る事に成功したのでしょうか?瞑ってしまった目を恐る恐る開くとまだ私がいるのは空の上でした。
「貴方が助けてくれたのですか?…ありがとうございます」
「…オォォォォォン」
落下する私をアンの召喚した悪魔が受け止めてくれた様です。悪魔は私の言葉を理解したのか分かりませんが感情のこもってない鳴き声を小さくあげました。
「とにかく地上へ戻りませんと。レッドドラゴンがどうなったかも気になりますしね」
地上を見下ろすとアンがこちらへジェスチャーを向けています。どうやら私に戻って来いと伝えている様です。私は先程までいた場所をイメージしてアンのいる場所まで瞬間移動しました。
「こんのバカ王女!レッドドラゴンを落とした迄は褒めてあげるわ!でもまさかその後の事を全く考えて無いなんて思わなかったわよ!」
「心配を掛けてごめんなさい。瞬身のレイピアに認められた事が嬉しくて…つい後先考えずに動いてしまいました」
「何か考えがあるんだろうと見ていたけどグングン落ちていくんだもの。もう!あまりハラハラさせないでよね!」
アンに怒られてしまいました。本当に私の事を心配してくれた様でアンは息を切らしながら私を捲し立てます。
「今回はレッドドラゴンを地上に落とした事に免じてこの辺りで許して下さい。手応えは感じたんですけどどうなったでしょうか?」
「かなり派手に地上に叩きつけられていたわ。流石にあれで無傷って事は無いと思うけど…それにしてもあんな大技があるならなんで今まで使わなかったのよ?」
「ライトニングクラッシュは隙が大きい技で中々使い所の難しい技なのです。瞬間移動が使える様になった今なら実戦でも使えると思いましたが上手くいって良かったですわ」




