274 仕切り直し
「傷がまるで無かった様に…それに脚も全く痛みませんわ。メリッサ、本当にありがとうございます」
「ふふふ、お礼なんていらないわよ。レイちゃんも私の大切な仲間なんですもの、もしまた怪我をしても私が治してあげるわね」
メリッサの治癒の力が私の傷を完全に回復してくれました。これなら私もまた全力で戦う事が出来ます。
「ボク達も協力するよ。皆で戦えば幾らレッドドラゴンでもアッと言う前に倒せる筈だよ」
「…そうは許してくれないみたいよ。また新手だわ、今までレッドドラゴンが複数で行動する事なんて無かったのに…」
テミスが空を睨みつけながら苦々しげに呟きます。最初は何の事か分かりませんでしたが遠くの空から何かが近づいて来ています。まさかアレは…
「新手のドラゴンは1頭みたいね。それなら私とテミスちゃん、ルメスちゃんの3人でどうにか出来ると思うわ」
「レイにはまだ言ってなかったけど向こうでユイトとオウルさんが1頭ずつ相手をしてるんだ。本当になんでこんなにレッドドラゴンが集まってくるのさ」
「ルメス、愚痴は後にしなさい。私達は三人であの新しいドラゴンを相手するからアンタ達はしばらく2人で持ち堪えて頂戴」
ユイトとオウル師匠もレッドドラゴンを相手している様です。まぁあの2人なら私が心配せずとも大丈夫だとは思いますが…
「時間を稼ぐなんてそんな事はしないわ。私とレイの2人で倒してみせるんだから」
「怪我も治してもらったしこの新しい細剣も有ります。ところでこの細剣に名前は有るのですか?」
「その細剣は瞬身のレイピア。その名の通り上手く使いこなせれば近い距離を瞬間移動出来る能力を持っているわ。私がユイトと出会ってすぐの頃にいけ好かない女魔族を倒して手に入れた武器よ」
瞬身のレイピア…やはりこれも特別な力を秘めた武器でした。上手く使えば私の戦闘力を飛躍的に高める事が出来そうです。
「ユイトが言うには武器に認められれば自然と力の使い方が分かるって話だったね。詳しい事は後でユイトに聞いてみればいいよ。それじゃボク達は新手のドラゴンを倒しに行くとするね、それじゃあまた後で!頑張ってね」
空を見ると先程まで小さな点にしか見えなかったドラゴンがすぐ近くにまで迫って来ていました。メリッサ達3人は新手を迎え撃つ為に私とアンを残し去っていきました。
「さぁレイ、ここから第2ラウンドの始まりよ。私達の新しい力、あのトカゲに思い知らせてあげるわよ!」