026 魔石の価値は
「ほっほ、これはまた豊作じゃ、こんな数の魔石を見るのは何年ぶりかのぉ、こっちはオルトダイルの魔石か!?なんと素晴らしい」
ガリアムさんが嬉しそうにルーペで魔石を1つ1つ鑑定していく。
イール村を襲ったリザードマンの魔石を村人が回収していたのでそれを山分けした分で80個、カッパーさんの護衛中に倒した猿の様なモンスターの魔石が30個程、そして目玉商品にオルトダイルの魔石が1つだ。
「そうじゃの、全部で金貨300枚で良かったら今すぐ準備できるがどうじゃ?安く買い叩く様な真似はしたくないんじゃが今はこのありさまでのぉ、無理にとは言わんができれば譲ってくれんか?」
確かに今のギルドは経済的にも余裕がないだろう、何しろ開店休業状態だ。
「2人ともどうする?出来れば俺はガリアムさんに売りたいと思うんだけど」
「女性の敵の被害者です!もちろんです!」
「異存ない、売るべき!」
「すまんのぉ、直接商人に売ればまだ高値がつくが本当にいいのかね?」
今の俺達は特に金に困っているわけではない、ここで断っても目覚めが悪いし俺達の実力な幾らでも魔石を手に入れる事が出来るだろう。
「大丈夫です、この辺りはモンスターが少ないんですか?この街にしばらく滞在する予定なんでまた魔石が手に入れば売りに来ますよ」
「少ない、というより難しいと言った方がいいかの?いる事にはいるが厄介なモンスターでの、ファームライノと言う大型のモンスターなんじゃが」
そう言ってガリアムさんは1冊の本を広げた、モンスターの生態について書かれている本の様で、開かれたページには角の3本生えたサイの様なモンスターが描かれていた。
「こやつの外皮は非常に硬くての、人や馬車を見かけると突進してくる凶暴なヤツじゃ、魔石を取るにも採算が合わなくて誰も狩りに行かないモンスターじゃよ」
「どこにいるか分かりますか?街の近くにはいない様でしたけど」
「ここから2時間程歩いた所に荒野があっての、先代の領主殿がヤツらをそこに追い込んだんじゃ、街の周りに黄色い花が咲いてたじゃろ?ライムブラスという花なんじゃがヤツらあの花の匂いを嫌って逃げていくんじゃ」
街に入る前に爽やかな柑橘系の香りが漂っていた、いい香りだと思ったが人間とモンスターは好みも違うみたいだ。
「私はあのお花大好きです、旅の疲れが吹き飛ぶ様ないい香りでした」
「先代の領主殿は立派な方だったのにのぉ、どうしてあんな風に育ったのか儂には分からんよ」
呟いたガリアムさんの表情は悲しげてあった。




