250 拾い物
「なんだお前達もアイテムバッグを持っていたのか?結構高価な物だって聞いたけどどこで手に入れたんだ?」
「店で買えば安い物でも金貨3000枚は下らないな。もしかしてどこかの村でも襲撃したんじゃ無ぇだろうな?」
「自慢じゃないけどアンタとオウルのお陰で人間の村の襲撃に成功した事は無いわよ。コレは私達の寝込みを襲って来た盗賊を返り討ちにした時にいただいた物よ」
「アイツら情けないったら無かったね。2、3人ぶっ飛ばしたら泣きながらアイテムバッグを差し出して来たんだ」
並の腕自慢ではアン達には太刀打ち出来ないだろう。3人を襲った盗賊達は災難だったな。まぁ盗賊なんてロクな連中のやる事じゃないから自業自得か。
「そんな事があってからこの中には着替えや野営の道具なんかを入れてたんです。後は道中で拾った物なんかも適当にしまっちゃいました」
トロンが自分のアイテムバッグの中からハニワの様な人形を取り出して苦笑いを浮かべる。あんな人形どこで拾ったんだろう。
「…!?ユイト!それよ!それだわ!」
「どうしたんだテミス?そのハニワもどきが欲しいのか?」
「ちっが~う!バカユイト!トロンのアイテムバッグの中から装備品の反応を感じるのよ!」
「なんだって!?間違い無いのか!?」
テミスが再び大声をあげながらトロンのアイテムバッグを指さす。本当にこの中に俺の失われた装備が入っているのか?
「えっと…どうかしたんですか?私達のアイテムバッグに何か問題が?」
「トロン、拾った物をその中にしまってるって言ってたよな?最近外套を拾わなかったか?全体的に暗めの青色で膝上くらいの丈の物なんだけど心当たりはないか?」
「外套ですか…?あっ!拾いました。確かにユイトさんが言った様な外套に心当たりがあります!」
「その外套は俺が無くしてしまった大切な装備品なんだ。お願いだ、譲ってもらえないだろうか?」
「ユイトさん達にはお世話になってますし私は構いませんよ。ドロシーちゃん、アンちゃんもそれで良いかしら?」
トロンの問いかけに2人が頷く。良かった、まさか3人が俺の装備品を回収しているとは思わなかった。アイテムバッグの中に収納されているからテミスの感知に引っかから無かったのか。
「あれ?どこにしまったかな…コレでもないそれでもない…」
風呂に浮かべて遊ぶ様なアヒルちゃん人形にボロボロの長靴、0点の答案用紙なんてどこで拾ったんだ?まるで某ネコ型ロボットの様にトロンが無造作にアイテムバッグの中の物を辺りに放り投げる。
「あった!有りましたよユイトさん、コレが私達の拾った外套です!」