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249 母の形見

「あ~美味しかった、ご馳走様。ユイト達と行動する様になって食事のレベルがグンと上がったわ。姉さん達と3人旅をしてた頃とは雲泥の差よ」


「そうね…ちゃんとした料理の味を知ってしまった今となってはあの食事き戻れそうに無いです」


「そっかあ?ウチはトカゲの丸焼きとか結構好きだったよ。まぁサクヤの作るご飯の方が断然美味いけどね」


魔族3人娘もサクヤの作る朝食に満足してくれた様だ。それにしてもトカゲの丸焼きか…3人が今までどんな生活を送って来たか気になってしまう。


「お粗末様でした。喜んでもらえて私も作り甲斐があります。3人が作ってくれたお味噌汁もとっても美味しかったですよ」


「先生が良かったからよ。でも不思議なのよね。アンタ達が街で食料を仕入れたのはもう何週間も前の事なんでしょ?そうとは思えないくらいに新鮮な物ばかりだわ」


「それはコイツのお陰だな。この中に収納したものは時間が止まり腐ったりする事も無い。どれだけ助けられているかわからないよ」


ベルトに取り付けたアイテムバッグを取り外し机の上に置く。手提げカバン程の大きさだがこの中には荷馬車一台程の物を収納する事ができる。


「ん?このアイテムバッグはどこかで見た事がある様な…ユイト、コイツはどこで手に入れたんだ?」


「シグマさんはアルフさん達とも知り合いでしたね。これはアルフさんから貰った物で元々はお母さんのシータさんが使っていた物だそうです」


「そうだ思い出した、確かにコイツはシータが使っていたアイテムバッグだ。懐かしいな、アイツは優秀な偵察だったがまさかあんな事になっちまうとはな…」


シータさんは幼い頃リザードマンに攫われたアルフさんを助ける為に命を落とした。同じ

ブラーゴの街を拠点にしてたシグマさんとも面識があった様だ。


「アルフ達もユイトに命を救われたんだったな。筋は良いがシータの死を引きずって伸び悩んでいたけどユイトの話を聞くともう大丈夫そうだ。アイツは強くなるぜ」


「えぇ、今では仲間の2人とイール村に拠点を移して活動しています。リザードマンの残党から村を守ると張り切ってました」


ふと頭に冒険者パーティ赤き火の3人の顔がよぎる。3人とも元気にしているだろうか、偽神の件にケリをつけたらまたイール村へ遊びに行こう。


「へぇ、ウチらも同じ様な物を持っているけど中に入れた物の時間が止まるなんて知らなかったよ、なぁ姉貴」


「うん、そんな便利な物だなんて知らなかったわ。食べ物を入れるのはなんだか怖くって…」

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