246 封印
「邪竜はこの世界に深い怨みを持っている…マズイな、これじゃ偽神の器として完璧すぎる…」
「偽神?ユイト、其方何を言っておるのだ?我にも分かる様に説明をしてほしい」
「海竜様も偽神の事は知っていますよね?実はヤツがこの世界で活動する為の器を探している様なんですが…」
俺は王都で偽神から直接聞いた計画の事や魔族が偽神自分の器になる存在を探している事を全て話した。海神様ならきっと偽神の計画を阻止する為に力を貸してくれるだろう。
「なるほどな、もし偽神が邪竜の身体を手に入れる様な事になると取り返しがつかぬ…」
「えぇ、俺は偽神の力を身をもって思い知らされました。もし偽神が伝説の邪竜の身体を手に入れると想像も出来ない強さになってしまうでしょう」
「ユイト、其方らは今邪竜が封じられた山にいるのだな?ならばヤツの封印が正常に機能しているか確認をしてもらいたい」
「俺もそのつもりです、海竜様は山のどこに邪竜が封じられているのかご存知なのですか?」
アン達3姉妹の話では魔族は邪竜の存在を重要視している様だ。それならばこのドラゴンロックに他の魔族も派遣されている可能性が高い。
「うむ、我は水の無い場所へは行けぬ故に当時封印を施した人の子らに聞いた話だがな」
「その場所を教えて下さい。もしかすると既に魔族が邪竜の封印を見つけてしまっているかも知れません」
「我が聞いた話では山頂にある大岩、それが邪竜を封じる為の楔になっていると云う話であったな」
「山頂…ですか」
目の前にそびえ立つドラゴンロックの山を見上げる。俺達が今いるのは山の二合目程だ、この山の山頂を目指すとなるとどれ程の時間がかかるだろうか。
「とんでも無く高ぇ山だからな、それに危険なモンスター共もうじゃうじゃいやがる。それでもこんな話を聞いてしまった以上登るしか無ぇな…」
「余分に食料や物資を準備しておいて良かったよ。ユイト君達や3姉妹の分を考えても余裕がある」
「ドラゴンロックの山頂ですか…王立学院の図書館でこの山に関する本は沢山読みましたが山頂へたどり着いた者の話は見た事ありませんでしたわ」
前人未踏のドラゴンロックの山頂、どんな危険が待ち構えているか分からない。
「すまぬな、我が直接行く事が出来れば良いのだが…其方らには苦労をかける」
「謝らないで下さい、海竜様はザラキマクや王都の様な海の近くで人の多い街の守りをお願いします」
「うむ、確かに任された。何か異変が有れば我の方から知らせよう。其方らもくれぐれも気をつけて行くのだぞ」