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245 太古の戦

やはり伝説は真実だった様だ。御伽噺になって語り継がれている遥か昔の邪竜と人間との戦い。オウルさんから聴いた御伽噺の通りだとすると海竜様は過去に邪竜と戦った事になる。


「あの者は強かった。我と天竜、地竜。3竜が総出で挑んでも勝てぬ程に強い力を持っていた」


「御伽噺に出てきた海竜様の仲間の事ですね。あの話の通りだとすると天竜様と地竜様はその戦いで命を落としたと…」


「然り、あの2竜は人の子達を守り命を落とした。優しく強い者達であったな…我だけが生き延びてしまった…」


海竜様の声が寂しそうに聴こえる。今は亡き友の事を思い出しているのだろう。


「して邪竜の事であったな。あの者は人の子達の強力な封印で封じられている。長き戦いの果てに我らは勝利したが結局あの者を完全に始末する事は出来なかったのだ」


「そもそも邪竜とは何者なんですか?何故人を襲う様な事をしたのでしょうか?」


「あの者も元は我と同じく創造神様の眷属、人の子を守り助ける為の存在であった」


「何ですって!?エルフの伝承にはその様な事は一切出てきませんでした、邪竜が人を守る為の存在だったなんて初耳です」


海竜様の存在を知り混乱していた様子だったオウルさんが我に戻った様だ。驚いた様子で声をあげる。


「今の声の主はエルフの子か?エルフは長寿故にあの戦いの伝承が色濃く残っているのだろうが邪竜ルシオンが創造神様の眷属だった事実を知る者は当時でも少なかった。その事が伝わっていなくとも無理はない」


「それで何故人を守る為の存在が人を襲う様になったんでしょうか?それも自分を生み出した創造神様に反逆する様な真似までして…俺には理解できません」


「あの者は我や天竜、地竜よりも古くに創造神様より生み出された。長く人の子を守っている内に欲に取り憑かれたのだ、創造神様の寵愛を受ける人の子を世界から消し去り自らの思い通りに世界を支配すると云う欲にな」


欲に溺れたか、海竜様を見ていればわかるが神様の眷属と云えど自分の意志を持っている。その意志が自分の欲求を満たす為に働いたとしたら…


「あの者は言っていた『何故自分よりも遥かに劣る存在を守る為に己を殺さなければならないのか?人の子達も己の欲求を満たす為に生きている、何故自分だけが我慢しなければならないのか』とな」


「それで人間を滅ぼし自分の生きたい様に生きれる世界を創ろうとしたんですね…だとすればルシオンは人間の事を相当怨んでいたんじゃないですか?」


「封印される間際まで呪詛の言葉を放っていた。あれから長い年月が経った、今でも奴は人の子を、いやこの世界に対し強い怨みを抱いているだろう」


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