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241 御伽噺

昔々、まだ神さまが人間やエルフを創り出した頃のお話です。


人間は今ほど数が多く無く世界には大きな街など存在しませんでした。人間達は世界のあちこちに小さな村を創り少しづつですが数を増やしながら文明を発展させてました。


そんなある時人間達に事件が起こります、ルシオンと名乗るドラゴンが手下を連れて人間達の村を襲い始めたのです。


人間達は困ってしまいました。そこでそれぞれの村の代表が集まり話し合った結果ルシオンに一体どうすれば村を襲う事を辞めてもらえるか話をする事になりました。


話し合いの結果、人間の中で一番強い男とエルフの中で一番魔法が得意な女が選ばれました。


2人は何日も何日も歩き続けようやくルシオンの棲む山へとたどり着く事ができました。


「ルシオンさん、僕達人間の村を襲う事を辞めて下さい。どうかお願いします」


「私達はルシオンさん達ドラゴンとも仲良くしたいのです。人間とドラゴンが手をとりあえばきっと素晴らしい世界を作れます」


男女はルシオンへと一生懸命にお願いします。そんな2人を見ながらルシオンは言いました。


「俺はお前達が世界に現れるずっと前からこの世界にいたんだ。それなのにお前達はどんどん数を増やし勝手に世界を作り変えている。そんな勝手を許す訳にはいかない」


そう言ってルシオンは2人に襲い掛かろうとしました。


「エルフさん、このままでは2人とも殺されてしまう。貴女は皆のところへ戻ってこの事を伝えて下さい」


女は嫌がりましたが男は自分が足止めをすると言って聞きません。女は渋々その場を後にし命からがら皆の元へ戻る事が出来ました。


女からルシオンの話を聞いた皆は困ってしまいました。話を聞くつもりが無い相手にどうすれば良いのでしょうか。


皆が困っていると突然空が輝き美しい声が響き渡りました。


「人の子達よ、このままではきっと貴方達はルシオンに滅ぼされてしまいます。貴方達を守る為に私の眷属を貴方達の元へと遣わせます。彼等と協力してルシオンを打ち倒すのです」


声は人間を創りだした神様のものでした。そして神様の言った通り3匹のドラゴンが人間達を守る為に姿を現しました。


空を自由に駆け巡る天竜。


大地の籠を得た力強い地竜。


海を自在に操り海竜。


3匹の強力な竜と共に人間達はルシオンに戦いを挑みます。その戦いは凄まじく何年も何年も続きました。


その戦いの中で多く命が失われました。ルシオンの力は強く天竜と地竜も人間達を守り命を落としてしまいます。


そして長い戦いの末にようやく人間達はルシオンを封印する事ができたのです。世界に平和が訪れました。


激しい戦いを通して人間達の絆は強くなりそれからは大きな争いが起きる事もなくいつまでも平和に人間達は過ごしましたとさ、めでたしめでたし。

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