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幕間 今までも、これからも

イール村の共同墓地、亡骸の無い墓の前で1人の男が手紙を燃やしていた。




『拝啓、シータ様


拝啓って意味が何か知ってるか?俺もしらねぇが手紙を書く時はこうはじめるらしいぜ。


お前さては「似合わない」って腹抱えてバカ話いしてやがるな?


この前村に来た行商人にこうやれば天国に手紙を送れるって教えてもらってよ、試してるんだ。


アルフと仲直りしたよ、俺はアイツがお前の復讐の為に冒険者をやってると思ってた、無茶して死ぬんじゃないかと冒険者を辞める様に言ったら喧嘩になってよ、長い事顔も合わせてなかったんだ。


でもアルフは復讐の為に冒険者をやってるんじゃなかった、いい仲間に恵まれたみてぇで立派な男に育ってたぜ、俺は息子の成長を信じてやれてなかったんだな。


それと最近村に大事件があってな、村の近くでリザードマンが異常繁殖してたんだ、アルフは冒険者の仲間や偶然村に立ち寄った凄腕の旅人さん達と一緒にリザードマンの巣を壊滅させたんだ、たった6人でだぜ?信じられるか?


お陰で村は平和そのものだ、自慢の息子だよ。


その事件がきっかけでアルフと仲間達がこの村に引っ越してきてよ、その中の1人、イオタちゃんて娘さんなんだが、どうもアルフに惚れてるみたいでな、アイツは誰かさんに似て鈍感だから気づいて無いけどありゃあ時間の問題だ、近いうちに娘と孫ができると思うぜ、お前もお婆ちゃんだ。


あとお前が使ってたアイテムバッグを村の恩人の旅人さんにあげちまった、良かったら村に住まないか誘ったんだが旅の目的ができちまったみたいで旅立って行ったよ、良かったら天国から見守ってやってくれ。


ひとまず近況報告はこんな感じだ、後30年もすればまた会えるから続きはその時に話す、楽しみにしとけよ。


最後になっちまったけど俺はお前に会えて本当に良かったと思ってる、恥ずかしがってあまり言えなかったけど伝えたいことがあるんだ。


お前を愛してるぜ、今までも、これからも。』


男が墓から立ち去る時、ふわっと風が吹いた。


『私もアンタを愛してるよ、今までも、これからも』


午後のイール村は優しい陽射しに包まれていた。

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