223 自白
「いい子だ、素直な子は嫌いじゃない。それじゃあこんな危険なモノはもう必要ないね。レイ、悪いけど元有った場所にコレを戻して来てくれ」
「わかりましたわ、正直同じ女性として1人の少女の未来が救われた事に安心しています。貴方も女としての人生を諦めたくなかったらオウル師匠には逆らわない事をオススメしますわ」
憐れみの目でアンを見つめながらレイがドラゴンの胆汁が入った壺をどこかへ持って行く。一体どこから持ってきたんだろう。
「さぁそれじゃあ約束通り話してもらおうかな。偽核は人間やモンスターの生命力を元に作られている。この考えが正解かどうか教えてくれないかい?」
「…正解よ、普通サイズの偽核を作るのに雑魚モンスター100匹分くらいの生命力が必要になるわ、私達姉妹はまだ人間の生命力で偽核を作った事がないけど多分人間も似たような人数で同じ物が作れると思う」
「なるほどな、それじゃ嬢ちゃん達はまだ人間を殺した事が無ぇって事だな。正直憎めねぇ3人だと思っていたから殺す様な事はしたくなかったんだ、良かった良かった」
嬉しそうに笑い声をあげるシグマさん、俺もその気持ちは分かる。風呂場でコケて自滅した事といいオウルさんの臭い責めで涙目になった事といいどこかアンの事を憎めないでいた。彼女がまだ人間を手に掛けていないならば殺す理由は無い。
「う!五月蝿いわね!いつも人間に手を出そうとしたらアンタ達が邪魔してくるせいで出来なかったのよ!アンタ達が居なければ今頃人間なんて何人も殺せていたんだから!」
「そんな物騒な事言うんじゃねぇ。人間を殺すって言うなら俺はお前さん達を始末しなきゃなっちまう、出来るなら可愛らしい嬢ちゃん達を始末するなんてしたく無ぇんだ」
シグマさんから放たれた殺気にアンは何も言えなくなってしまった。強者と弱者、本能で自分では敵わない相手だと理解したのだろう。
「まぁまぁシグマ、あんまりこの子を脅さないでくれよ。質問の続きだ、君達魔族は偽核を作り出し何をしようとしているんだい?手駒を作り出す事だけが目的じゃないんだろ?」
「…手駒が出来るのはただの副産物、いや失敗作よ、私達が本当に作りたいのは偽神様の力に耐えられる器、偽神様がこの世界に降臨する為の器を作るのが私達魔族の役目よ」
「そうか、それであの時エナハイ侯爵の身体に偽神が乗り移ったのか。でもあの人は特に強い力を持っていた訳でもない普通の人だった。何でそんな人が強い力を持った化け物に変化したんだ?」