222 尋問
「…で彼女をこの野営地に連れて来たと。まさか僕達が何度も取り逃がした3人の内の1人をこうも簡単に捕まえてくるなんて…」
「この顔は見覚えがあるぜ、あの3人組の中に1人鈍臭いのがいたけどコイツで間違いねぇ。でかしたぞユイト」
捕まえたアンの処遇に困った俺は一旦シグマさん達の野営地に連れ帰り今後の事を相談する事にした。勿論アンは未だロープでグルグル巻きの状態だ。
「アンタ達は確か私達の計画を何度も邪魔してくれた連中ね。何よ、私をどうしようっての?人間なんかには屈しないわ!殺すなら殺しなさい」
おおっ、これが噂に聴くクッ殺ってヤツか。まさか本物を聴ける日が来るとは夢にも思わなかったぞ。
「まぁまぁ、そんな間抜けな姿で凄むなって。別にお前さんの事をとって食おうって考えちゃいねぇ。ただちょっと聴きたい事があるだけだ」
「聴きたい事は山程あるけど…そうだな…まず手始めに偽核は人間やモンスターの生命力を素に作られている。この考えは間違っていないと考えていいかな?」
「アンタ達の質問に答える気は無いわ。私を甘く見ない事ね」
普通なら解放される様に交渉する場面だと思うのだがこんな状況でも強気に出るとは中々肝の据わったヤツだ。
「そうか…あくまで自分達の情報を話すつもりは無いと…しょうがない。レイ、アレを持って来てくれ」
「アレって…まさかアレの事ですか!?オウル師匠!幾ら魔族と云えど相手は女の子ですわよ!?」
「ここで情報を集めておかないとこの先何か起こった時に対応できなくなるかもしれない。僕だってこんな真似はしたくないけど仕方ない事なんだ」
「わかりましたわ…世界の為ですものね…準備して来ますのでしばらくお待ち下さい…」
オウルさんは一体何をしようとしているのだろうか。レイの反応をみるにとても恐ろしい事を考えている様なのだが。
「お待たせしました、皆さん臭いにやられてはいけませんので布か何かで鼻を塞いで下さい」
「何を持ってきたんだ…って臭っ!?何だこの臭いは…その壺の中から臭ってくる様だけど…」
顔をスカーフの様な布で覆ったレイが小さな壺をヤットコで掴んで帰ってきた。辺りに凄まじい悪臭が漂う、生ゴミと乳製品の腐った臭いを混ぜて100倍にした様な…とにかくとんでもない悪臭だ。
「何も話すつもりが無いと言うなら今から君にコレを飲んで貰う。コレは解体したドラゴンから採取した胆汁で口にしても死ぬ事は無い。寧ろ滋養強壮効果バツグンの妙薬なんだけどこの通りとんでもない悪臭でね、本来なら数年寝かして臭いがなくなってから使うモノなんだ」