217 狙われたドラゴン
生命力を素に偽核が作られているとするならば…魔族がドラゴンロックに来た理由が分かったかも知れない。
「もしかして連中の次の狙いは…ドラゴンの生命力ですか?」
「鋭いじゃねぇか、俺はオウルに言われるまでその事に気付かなかったぜ」
「間違いなくヤツらの狙いはドラゴンだろうね、モンスターの中でも最強種と言われるドラゴン。その生命力を使って偽核を作るつもりだろう」
ドラゴンの生命力、アイギスの持っていたモンスター図鑑にも書かれていたがその生命力は凄まじいの一言に尽きる。中には首を切られても数日間生きていた伝承もあるそうだ。
「もしドラゴンの生命力で偽核が作られたら大変な事になります。大量の偽核をばら撒かれたらどれだけの被害がでるかわかりません」
「それだけじゃねぇぞ?もしドラゴンに偽核を使われたりでもしたら最強の化け物の誕生だ。空を飛んで街を狙われたら俺でもどうしようもねぇ」
「つまりこのドラゴンロックは連中にとって偽核と手駒を手に入れられる最高の環境って訳だ。全くロクでもない事を考えつく連中だよ」
今まで偽核を埋め込まれた者を見てきたが総じて以前とは比べ物にならならい程戦闘能力が強化されていた。もし偽核を埋め込まれたドラゴンが大量に世界に放たれたりでもしたら…それこそ世界が終わってしまう。
「俺にもこの山に逃げ込んだ魔族を探す手伝いをさせて下さい。放っておいたら大変な事になってしまいます」
「そいつはありがてぇ申し出だが…いいのか?お前さんはこの山に訓練と探し物をしに来たんだろ?」
「魔族を探しながらでも訓練はできます。それに幾ら強くなっても世界が滅んでしまえば意味がありません」
「ありがとうユイト君、それじゃあ明日から午前中は訓練をして午後から魔族の捜査って事でいいかな?君が強くなる為の訓練だって世界を偽神から救う為に必要な事だ、疎かには出来ない」
ドラゴンロックの山は広大だ。木々が生い茂りあちこちに洞穴もある、シグマさんの 達3人では魔族の捜索は困難を極めるだろう。
「俺の仲間のテミスは気配を探る事が得意です。きっと逃げ込んだ魔族を探す事もできると思います。山に逃げ込んだ魔族はどんなヤツかわかりますか?」
「3人組の女の魔族だ。何度か仕留める寸前まで追い込んだだが逃げ足の速ぇ連中でよ、最近じゃ俺とオウルの姿を見るだけで逃げちまう様になってしまって苦労してたんだ」
「単純な戦闘力は大した事ないんだけどね。いけないそろそろのぼせて来た、つい長湯になってしまった。今夜はゆっくり休んで明日に備えよう」