206 告白
シグマさんが俺に問い掛けてくる。サクヤ達を実体化する場面はシグマさんにも目撃されている、疑問を持たれるのも無理はないだろう。
「魔法とは少し違います。こんな事を言っても信じてもらえないかもしれませんが実は俺達は元々この世界の人間では無いんです」
「そりゃ一体どう言う意味だ?良かったらちゃんと説明してくれねぇか?」
元々シグマさん達には偽神の計画の事を話すつもりでいた。その話を信じてもらうには俺がこの世界に召喚された経緯も説明する必要があるだろう。
「わかりました、順を追って話しますね…」
元いた世界の事、この世界に来てからの事、そして偽神がこの世界を終わりの無い闘争へて導こうとしている事を全て話した。俺の話を聞いた3人は無言になり話の内容を理解しようとしている様子だ。
「…つまりその偽神とらやらをどうにかしないとこの世界は永遠に争いが続く世界になってしまうと云う事か…」
「このまま偽神の好きな様にさせていれば人間が滅ぼされてしまいますわ…なんて恐ろしい事を」
「気にくわねぇヤロウだな、まるで人間や魔族、いやこの世界を自分の玩具にしてやがる」
3人の反応を見るに俺の話を信じてくれた様だ。あまりに突拍子の無い話だったから信じてもらえるか不安だったが杞憂だったな。
「俺は一度偽神と戦い…負けました。それどころか勝負にすらなりませんでした。俺は偽神を倒す為の力が欲しい、その為にシグマさんに教えを請いに来たんです」
「そうか、お前さんの事情は良く分かった。俺が教えられる事は全て教えよう、ビシバシいくぞ、覚悟しておけよ」
シグマさんの言葉を聞いたレイの身体がビクッと反応する。顔を見ると何か嫌な事を思い出したかの様に目が虚ろになっていた。
「レイ、どうしたんだ?具合でも悪いのか?」
「い、いえ、シグマ師匠が自分から厳しい修行になるなんて仰るものですからつい」
「なんだ?姫ちゃんもユイトと一緒に稽古するか?いつもの様に生ぬるい内容じゃなくスパルタでいくけどな」
「あの内容が生温い?いつも私はその生温い修行で死にかけていたのですか?」
レイの反応からシグマさんの言うスパルタがどの様なモノが薄っすらと理解できた。
「心配しなくてもちょっとやそっとの厳しさなんて気にしません。どうかよろしくお願いします」
「よく言った、それでこそ男だぜ。明日に備えてもっと肉を食えよ。ホラ、これなんかいい感じに焼けてるぜ」
大きな肉の塊を俺の皿に乗っけてくるシグマさん。ドラゴンロックの夜は賑やかに過ぎていった。




