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198 少女の実力

木の枝を構え俺に斬り掛からんとする謎の少女、中々サマになっている。先程の攻撃と言い剣術の心得がある様だ。


「話し合おう!俺も別に君の裸を見たくて見た訳じゃ無いんだ!事故、そうアレは事故だったんだよ!」


「問答無用!私は一生を添い遂げる殿方以外の男性に裸を見せるつもりなんて無かったのです!それなのにこんなところで…いきますわよ!」


少女は怒りで我を忘れている様だ、とてもじゃないが冷静に話が出来る状態では無い。少女が地を蹴り俺との間合いを詰めて来る。速い、剣の扱いを知っている者の動きだ、やはり只の少女ではない。


「待ってくれ!謝るから!忘れた、今忘れた!ホラ、これで君の裸を見た男はこの世に居なくなったぞ!」


刹那少女の姿が視界から消えた。速さでは無い、俺の意識の隙を狙い攻撃を仕掛けてきたのだ。


「ウソ…また私の攻撃を避けた?今の攻撃は貴方の隙をついた完璧なものでしたのに…」


「危なっ!ちょっと今の攻撃は洒落にならないぞ!?」


「どこの誰かは存じませんが私の攻撃を2度も避けるなんて只者ではありませんわね…」


少女は驚いた顔で俺を見つめてきた。攻撃を避けられた事がショックだったのだろうか、これで戦意を失って話を聞いてくれれば良いのだが。


「兎に角話を聞いてくれ、俺が君の裸を見たのは本当に偶然なんだ。第一こんな危険な場所まで君の裸なんかを見る為に来るヤツは居ない。信じてくれ、悪気は無かったんだ」


「…私の裸()()()ですって…ふふふ…」


口が滑ってしまった、せっかく下がった少女の怒りのボルテージが再び上昇していく。こうなってしまえば俺に出来る事は一つしかない。


「じゃあな!もしまた会う事が出来たらちゃんと謝罪させてくれ!それじゃあ!」


「逃す訳有りませんわ!待ちなさい!この変態!」


脱兎の如く逃げ出した俺を少女が追いかけてくる。本気で逃げているつもりだが中々引き離す事が出来ない。


「なんて逃げ足の速い…こうなったら仕方ありませんわ!ライトニングレイ!!」


背後から放たれた魔法が身体を掠める。今までに見た事が無い魔法だが何故かこの魔法を知っている気がする。まさかこの魔法は…


「光属性魔法!?先程の剣術に俺に付いてこれる身体能力…更に光属性の適正者。君は一体何者なんだ!?」


「変態に名乗る名前などありませんわ!大人しく私の魔法の餌食になりなさい!」


次々と背後から魔法が放たれる、このままでは逃げ切る事は難しいだろう。あまり手荒な事はしたくなかったが仕方ない。俺は逃げる脚を止め追いかけてくる少女へと向き合った。

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