194 竜の洗礼
「36、37、38、39…俺は丁度40体か、ルメスの方はどうだった?」
「くっそ~ボクの負けだよ、こっちは39体、ハンデを貰ったのに勝てなかった、流石ユイトだね」
「いや、突っ込んだ場所に運良く敵が大勢固まっていたからな、アレが無ければ俺の負けだった」
襲撃してきたモンスターを全滅させた俺達は死骸を処理しながら魔核を取り出す作業に没頭していた。
「私達が倒した分で55体、合計で100体以上ですね、それにしても大きな魔核です、どれくらいの値段がつくのか楽しみです」
「金貨100枚はするんじゃないかな?前に売り払ったオルトダイルの魔核よりも大分大きい、これだけ数が有ればまたひと財産稼げそうだ、ん?どうしたんだアイギス?」
アイギスが何やら本とモンスターの亡骸を交互に見つめている、一体何をしているのだろうか。
「あった、多分このモンスターで間違いない、主さまコレを見て」
「モンスターの図鑑?いつの間にこんな物を手に入れたんだ?なになに…リトルグランドラゴン?コイツらはドラゴンの一種だったのか?」
アイギスが手に持っている本には目の前に転がっているモンスターに良くにたイラストが描かれていた、ドラゴンの中では一番下の亜竜と呼ばれる存在の様だ。
「ドラゴンねぇ…私には大きなトカゲに見えるけど、ユイト君他には何か説明は書かれてないのかしら?」
「ちょっと待ってくれ…どうやらコイツらは群れを成す事で生き延びてきた最弱のドラゴンって書いてあるな」
「そう、でも今まで私達が倒してきたどのモンスターよりも危険度は上って書いてる、腐ってもドラゴン」
このドラゴンロックが世界屈指の危険地帯だと言われてる理由はその名の示す通りドラゴンの生息地であるからに他ならない、この山にはリトルグランドラゴンなど比べ物にならない程強力なドラゴンが多数生息している。
「山の方から強力な気配をいくつも感じるわ、このドラゴン達は山から逃げて麓で餌を漁っていたみたいね」
「まだ山に登ってもいないってのに気の早いヤツラだ、俺の貴重な睡眠時間を奪いやがって…」
「まだ朝までは時間があるわ、ユイト君は休んでて大丈夫よ、もう今晩の内に襲撃は無いと思うし」
「お言葉に甘えさせてもらうよ、また何か有ったらすぐに起こしてくれ、今度こそすぐに起きるから」
先程は皆に恥ずかしい姿を見せてしまった、ザラキマクにグランズ、しばらく街で過ごしていたせいで随分鈍ってしまった様だ、今回は無事に切り抜けられたが次も大丈夫だと云う保障は無い、しばらくは安心して眠れない夜が続く事になりそうだ。