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187 王と国民

食い入る様に並べられた酒の瓶を見つめるドワーフ達、中には涎を垂らしている者までいる、彼らにとってこの場に並べられた数々の銘酒は何より価値のある物の様だ。


「これはお世話になったライノ武具防具店の皆さんへのお礼です、皆さんで飲んで下さい、ただしさっきみたいな喧嘩は無しでお願いしますね」


「本当に頂いてよろしいんで?この場にある酒は皆とんでもない値段の酒、いや、幾ら金を積んでも手に入らない様な物までありやす」


「えぇ、俺の仲間達は皆酒に弱いって訳でもないんですがその…かなり酒癖が悪くて、だから皆さんに飲んで貰えると俺としても助かるんですよ」


俺の言葉にドワーフ達の動きが止まった、思考停止している様だ。


「野郎共!仕事なんてやってる場合じゃねぇ!酒盛りの準備だ!」


「流石俺達の親方だ!話が分かる!」


「これだけの酒を前に仕事をしている様なヤツはドワーフ失格だ!今日は俺の人生最高の日になるぞ!」


ライノさんの号令に続き次々と雄叫びを上げる弟子のドワーフ達、あまりの大声に近所の人達も様子を見に家から出てきてしまった。


「まさかこんなに人が集まってくるなんて…この場で酒を出したのは間違いだったな」


「私の作ったピザももう全部出しちゃいました、とてもこの人数に行き渡りません」


集まって来た人達もドワーフの酒盛りに参加し辺りはお祭り騒ぎだ、何か事件かと様子を見に来た兵士達まで酒盛りに参加し始め辺りは混沌とし始めて来た、平和なのはいい事だが勤務中の兵士が酒を飲むのは些か問題があると思うぞ。


「私の酒…いやライノの店がどうなったか見に来たら何だかとんでもない事になってるじゃないかい?一体何がどうしてこんな事になったんだよ?」


「奥様、本音が隠せておりませんぞ、心配せずともドワーフが目の前の酒を残す事などありますまい」


「ラッカさんにペーギさんまで、俺にも一体なんでこんな事になったか分かりません、俺はただライノさん達に挨拶に来ただけだったんですが…」


「全く、これじゃ祭りじゃないかい、不思議だね、アンタの周りには自然と人が集まっちまう」


その時誰かが背後からポンポンと俺の肩を叩いた、顔を隠す様に帽子を深く被りマスクをしているがこの人はまさか…


「し~っ!僕がここにいる事が知られたら余計騒ぎになってしまう、先生に付いて街の様子を見に来たけど僕は国民の強さを甘く見ていたみたいだ、逆境でも笑う事が出来る人間は強い、街の復興の事は心配しなくても大丈夫みたいだ」


そう言いながら国王様はいつまでも住民達の様子を見つめていた。


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