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185 エナハイ家の過去

「あの家の連中も気の毒だったとは思う、だからと言って平民への酷い仕打ちを許す気にはなれないけどね…」


「エナハイ侯爵の最期は何というか…壮絶でした、あの家に昔何か有ったんですか?」


俺の問い掛けに一瞬国王様が苦い顔になる、やがて見かねたペーギさんがポツポツとエナハイ家に起きた事件について話し始めた。


「エナハイ家は昔ある事件が起こるまでは特に平民を憎む様な事をしない、寧ろ平民に思いやりを持った家だったのです」


「俺が自分の目で見たブーチ達の言動からは信じられません、エナハイ家の2人は平民を嫌って、いや憎しみを抱いていました」


ペーギさんの言う事はにわかには信じ難い、一体あの家に何が起こったと言うのだろうか。


「ユイトが信じられないのも無理はないさ、ブーチが産まれて間もない頃だったね…エナハイ侯爵の妻が殺される事件が有ったんだ、嫌な事件だったよ」


「そうですか…一体なんでそんな事件が起こってしまったんですか?」


「ある夜エナハイ家に強盗が入ったんだ、普通屋敷の警備が厚い貴族の屋敷に強盗に入るバカなんていない、でも…内通者がいたんだよ」


バルメス家の屋敷もそうだが貴族の屋敷には昼夜問わず警備の私兵がいるのが一般的だ、彼らは高い給料で雇われているだけあって腕も立つ、そこらの犯罪者なんかじゃ歯が立たないだろう。


「その内通者はエナハイ侯爵が行き倒れになっているのを助け屋敷に雇い入れた平民の女だった…その女は警備兵の食事に睡眠薬を盛り強盗共を屋敷に招きいれたんだ」


「なんて事だ…自分が助けた人間に家族を殺される事になるなんて…」


エナハイ家の人間が平民を嫌う理由がわかった、確かにそんな目に会えば人格も変わってしまうだろう。


「エナハイ家が平民を憎んでいる事は知っていたんだけどね…あの家の境遇を考えるとつい何も言い出せなくなってしまって…王として毅然と注意するべきだったのかも知れないと後悔しているよ」


「それでも…それでもやっぱり平民って一括りにして憎しみを抱くのは間違っていると思います、確かにエナハイ侯爵に恩を仇で返した女の事は許せません、でも貴族も平民も良い人もいれば悪い人もいます」


「エナハイ侯爵も頭じゃわかっていたと思うんだけどね、愛しい人の命を奪われてしまって頭の中が憎しみに支配されちまったんだろうさ…あーヤメヤメ!この話はこれでお終い!それより今後の話さ、ユイト、アンタ達はいつ頃ドラゴンロックに向かうつもりでいるんだい?」


場の空気を変えようと明るく振る舞うラッカさん、エナハイ侯爵の身に起こった事件は悲しい出来事だったが今更俺に出来る事はない、今は過去よりも未来の事を考えなければ。

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