184 危険地帯
「あの~、さっきから話に出ているドラゴンロックって場所はそんなに危険な場所なんですか?それに王女様って?」
「そうか、ユイト君はドラゴンロックの事を知らないんだったね、その名の通り昔からドラゴンが住み着いている山で普通なら近く事すら難しい、とにかく危険な場所なんだ」
「その超危険地帯にラオンの娘、つまりこの国の王位継承者を連れて行ったんだよシグマのバカは…考え無しな所は昔からちっとも変わってないね」
「因みにシグマにはオウルも同行しています、あの2人が一緒ならレイも無事でいるとは思うんですが…」
竜の住む山ドラゴンロックか、ちょっと待て、パフィン村で神様に装備の在り処を聞いた時確かそんな事を言っていたぞ。
「テミス、残された俺の装備の気配を探る事は出来るか?」
「ちょっと待ってね…感じられるわ、地図を出して頂戴」
ザラキマクを離れる時にブロスタさんから貰った地図を取り出すとテミスはある山を指差した、地図にはドラゴンロックと書かれている。
「やっぱりか、これで次の目的地は決まりだな、残る装備を回収できるしシグマさんに会う事も出来るかも知れない」
「一石二鳥ですね、これでやっと私達の仲間が全員揃います、それにしても国王様の娘さんがなんでシグマさんに同行しているんですか?」
「レイは昔からその…少しお転婆な子でね、学院の寮へ入って少しは大人しくなったと思っていたんだけど…」
「レイが少しお転婆だって?そんな可愛らしいもんじゃないさ、今まであの子に何度冒険へ連れて行けってせがまれたか覚えてないよ…オウルのヤツも家族を放ったらかして何してるんだか、あの2人には帰ってきたら説教が必要だね」
学院を抜け出し冒険の旅へ出た王女様か、絵に描いたようなじゃじゃ馬だな、一体どんな人なんだろう。
「オウルはシグマと違い思慮深い人間だから本当に危険になれば無茶はしないでしょう、ユイト君達は彼の家族と面識があるんだったね」
「えぇ、パフィンって村で短い間ですがお世話になりました」
「彼には家族がいる、会う事が出来たらくれぐれもその事を忘れない様に伝えて欲しい…」
「ラオン…アンタまだリオの事を…」
「忘れる事なんて出来ませんよ、妻の死に目に立ち会えなかった、それが僕の人生で唯一最大の後悔です」
遠くを見つめ何かを考えこむ国王様、亡き奥さんの事を想っているのだろうか。
「そう言えばエナハイ侯爵の事は残念でした、彼も不幸な事件で奥方を亡くしていますからね、妻を亡くした者同士彼の事は気にかけていたのですが…」