183 最強の行方
「偽神、ユイト君が全く敵わなかったという存在だね…」
「えぇ、悔しいですが今の俺ではアイツに勝てない、いや勝負にすらなりません、この国で最強と呼ばれる人に教えを請う事ができればと思いまして」
間近で見せつけられた偽神との圧倒的な力の差、しかもヤツは全く本気では無かった、今の俺では偽神に歯が立たない、いつか訪れる決戦に備えて少しでも力の差を埋めなければならない。
「最強ねぇ…強さにも色々種類があるけど総合的に考えると間違いなくシグマのヤツだろうさ、私もそこそこ長く生きて来たけど今までに出会った強者の中でもアレは頭一つ抜けている」
「私も先生と同じ意見です、きっと事情を話せばユイト君の力になってくれると思います、ただ問題があって…」
何か言い難い事があるのだろうか、国王様が言い淀む。
「実は少し前に私は国のあちこちで起きている異変の調査を腕利きの冒険者達に極秘裏で依頼しました、その中の1人がシグマなのです」
「ん?それの何が問題なんだい?連絡が取れるならユイトの修行の件もすぐに頼めるじゃないか?」
「順を追って話します、シグマは私の依頼を受け仲間と共に魔族の存在を嗅ぎつけました、すでに数人の魔族を倒したと連絡を受けています、丁度ユイト君達が王都へ来た頃です」
「凄い…生身の人間が魔族を倒すなんて、正直俺以外の人間で魔族を倒せる人がいるなんて思ってもいませんでした」
魔族の力は強大だ、一般の兵士が何人束になっても敵わないだろう、その魔族を倒したシグマさん、しかしどこかで聞いた名前だな。
「そのシグマ達の一行からつい先日ドラゴンロックに向かうと連絡が有ったのです、発見した魔族を追跡しているとの事でした」
「なっ!?ドラゴンロックだって!?あのバカ何を考えてるんだい!?死ぬつもりかい!?」
「私から無理はせず引き返せと伝書鳩を飛ばしましたが彼の性格では大人しく引き返す様な事はしないでしょう」
ドラゴンロック、一体どの様な場所なんだろう、あのラッカさんが珍しく驚いている。
「一度決めた事は絶対に曲げないヤツだからねぇ、それこそ国王のアンタが命令しても無駄だろうよ、アンタだってそんな手紙送ったところで意味が無いって知ってるだろ?」
「それはそうなのですが…実はレイがシグマに同行しているみたいなのです、誰にも知られずに王立学院の寮を抜け出した様で、父親としていても立ってもいられなくなりました」
「あのバカ…一国の王女を連れてドラゴンロックに行くなんて」




