016 ドラゴニュート
「リザードマンが喋った!?アルフを離しやがれ!」
ガンマさんが弓を構える、俺も即座に戦闘態勢に入りリザードマンと対峙する、サクヤは吹き飛ばされたイオタさんを助け起こしていた。
「ぶっ殺す!サルどもが!!俺をリザードマンなんてクソと一緒にしやががってよ!ああ!クソが!」
「その足を上げろトカゲ野郎!!『真空波』!!」
リザードマンの顔を目掛けて真空波を放つ、ガンマさんも俺の攻撃に合わせツインアローを放っていた、これで終わりだ、早くアルフさんを助け脱出しなければ崩壊に巻き込まれてしまう。
『パァーン!!』
激しい音を立てて真空波はリザードマンの直前で消滅した、ガンマさんの矢も見えない壁に阻まれたかの様に地面にポトリと落ちる。
「おい…今サルどもが何かしたか?下等な!サルが!ドラゴニュートのこの俺によぉ!!!!」
リザードマン…ドラゴニュートは怒り狂いアルフさんを踏んでいる足に力を込める。
「足をあげろっつんてんだろ!トカゲ野郎!【ドリルアロー】!!」
ガンマさんの弓からオーラを纏った矢が放たれる…がまたもや直前で見えない壁に阻まれた。
「黙れ!!このクソ猿が!!寝てろ!!!」
ドラゴニュートの指先から光線が放たれガンマさんの脚を貫通しする。
「がぁぁぁっ!!!」
脚を撃ち抜かれたガンマさんが倒れこむ、動脈をやられたのか出血が激しい。
「イオタさん!ガンマさんをお願いします!!回復魔法を!」
飛び道具がダメなら直接だ、俺はドラゴニュート目掛けて飛び上がり力任せに斬りつける!!
「アルフさんを離せぇぇぇ!!【唐竹割】!!!」
「サルが命令してんじゃねぇぇぇ!!このクソザルがよぉぉぉ!」
ドラゴニュートが腕を突き出すと俺は空中で不可視の壁に弾かれ洞窟の壁に背中から叩きつけられた。
「カハ…ッ!!」
口の中に鉄の味が広がる、思いの外ダメージが大きい、更に最悪なのは衝撃で弾かれた時に咲夜を手放してしまった事だ、ドラゴニュートの足下に転がっている。
「あらあら!大丈夫でちゅか?お猿さん?武器もなくなってちまいまちたね〜〜〜!!」
挑発してくるドラゴニュート、状況は最悪だ。
「ユイトさん!!大丈夫ですか!!術で援護します!その隙に咲夜を回収してください」
「ダメだサクヤ…お前の術だとアルフさんも巻き込んで焼いてしまう」
呼吸を整えろ、あの不可視の壁の弱点を探すんだ、焦るな、落ちついて考えろ。
「お前ら下等なサルの攻撃なんて通用しないんだよ!おいそこのガキ!コイツをそんなに助けたいか!?」
ドラゴニュートは片手でアルフさんの胸ぐら掴んで持ち上げる。
「でも残念!!お前らの攻撃はなーーんにも俺に通用しないんだよ!!!!」
そう言って腕につけた籠手を掲げた。
「……?けて?ユイトさん!あの籠手から声が聞こえます!『主さまみつけて…』って言ってます!!」
「アレは…アイギスか!?なんでこんな所に!?」