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163 侯爵派の困惑

「一体何が起こっていると言うのだ!魔人共は何をしている!?状況を説明しろ」


何もかもが予定外に動いておる、街で起きた騒ぎを治める為に城の守りが手薄になったと知った儂はすぐさま金で集めた私兵を率いて城へ向かった、城に残った兵力は僅か、楽に終わる戦いの筈だった。


「も…申し上げます!魔人部隊は壊滅した模様!残された魔人達は何処かへと飛び去った様です!」


「なんだと!あの化け物どもが壊滅!?ありえん!あやつらは卑しい身分ながら戦闘力は超一級、一騎当千の者どもだ!」


エナハイ家の嫡男、ブーチが懇意にしていたと云う胡散臭い商人、その商人から譲り受けた偽核、最初は眉唾物と思っておったが偽核の力は本物だった、金で雇った盗賊崩れ達に偽核を与えると連中は恐るべき力を持つ化け物に生まれ変わった、あの商人は化け物の事を魔人と言っておったな。


「伝令!伝令で御座います、城下町で暴れ回っていた人物はエナハイ家が嫡男ブーチ様であったとの知らせが入っております」


「おおっ!流石はわが息子、私達に好機を与える為に騎士団の詰所から逃げ出したのだな、ブーチが我が陣に加われば千人力、誰ぞ急ぎブーチを連れて参れ!」


儂と並び馬に乗っているエナハイ侯爵が嬌声を上げる、確かにヤツの息子は武勇に秀でていると有名だったな、父親の方はまるで役に立たんが息子の方は使えそうだ。


「それが…申し上げ難いのですがどうやらブーチ様は魔人と化したとの報告も入っておりまして…」


「おおっ…我が息子よ…あの様な化け物に成り果てと言うのか…嘆かわしい」


エナハイ侯爵が力無く項垂れる、しかしこの情報は儂にとっては吉報だ、元より武勇に優れたブーチが魔人になったのなら盗賊共よりも余程強い力を手にしているだろう。


「エナハイ殿、何も嘆く事はありますまい、御子息はこの国の未来を憂い自ら魔人になる事を選んだに違いありません、我々の…貴族の為の国を作る為に決心されたのでしょう、どの様な姿になろうとも我々にとっては英雄、これから出来る新しい我らの国の勇者となったのですぞ」


「トーラ殿…その様に言ってくれますか…そうですな、トーラ殿の言う通り、我が息子は新しい国の英雄になるべき人物!魔人になろうと何の問題はありますまい!」


「その通り!誰ぞ急ぎブーチ殿をこの場に連れて参れ!我らの正義をあの愚王に突きつけるのだ!」


馬鹿な奴め、この戦いが終わればエナハイ父子は用済みになる、戦費さえ搾り取れればと思い仲間に誘ったが思わぬ拾い物だ、魔人の戦闘力は驚異だが愚王を倒した後でゆっくりと時間を掛けて始末する方法を考えるとしよう、何も馬鹿正直に戦わずとも始末する方法は幾らでもある。


「申し上げま…!なんだあの光は!?」


先程とは別の伝令が何か新しい情報を運んで来たと同時に上空が眩しい光に包まれる、本当に一体何が起こっているのだろう。

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