表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/358

152 一個人

「来ました!トーラ侯爵の私兵を目視で確認!その数…およそ1万5千!事前の情報から盗賊や傭兵崩れも混ざっている物と思われます」


城壁の上へ出た私達に双眼鏡の様な魔道具を覗いていた兵士さんが駆け寄って来て現状を報告してくれます、国王様はその報告を聞くと険しい顔になりました。



「城に残った兵力はおよそ1000名、1000対1万5000か…戦況は不利もいいとこだね、どうする陛下、いっその事白旗でもあげちまうかい?」


「まさか?さっき先生も仰っていたじゃないですか、私もクラブに負けず劣らずの大馬鹿なんですよ、アイツなら決して諦める様な真似はしません」


「違いないね、陛下、私の命はアンタに任せたよ、バカが周りに多いせいで私にもバカが移っちまったみたいだよ、嫌だねぇ」


バンバンと国王様の肩を叩くラッカさん、その光景を見て周りの兵士さん達はキョトンとしています。


「しまった…つい素がでちまったね」


「こうなっては仕方ありません、しかし丁度良かった、これで兵達に私の本心で話しをする事ができる、誰か!拡声の魔道具を持って来てくれないか?」


しばらくすると1人の兵士さんがマイクの様な物を国王様へ持ってきました、アレが拡声の魔道具でしょうか。


「皆、私はラオン=グランズ19世だ、少しの間私の話を聞いてくれないだろうか、作業をしている者は手を動かしながら聞いてくれ」


周囲の兵士さん達が騒めき始めました、国王様の話し方がいつもと違うせいでしょうか。


「今日はこの国の国王としてでは無く私個人、ラオン=グランズと云う1人の男として話をしたい、まずは皆に礼を言いたい、逃げ出す事も出来ただろうに諸君は残って戦う事を選んでくれた」


国王様はそう言うと深々つ頭を下げました、周囲の騒めきが一層激しくなります。


「城に攻め入ろうとしているトーラ侯爵の一団は魔族なる者と手を組んでいる可能性が高い、正直どの様な力を持っているか分からない状況だ、この話を聞いて逃げたいと思った者は遠慮なく逃げてくれ、まだ少し時間の猶予がある、後から逃げ出した者を罰する事はしない、約束する」


私は周囲をグルッと見渡しましたが逃げ出そうとする兵士さんは見当たりません、寧ろ今の話を聞き士気が上がっている様にも見えます。


「連中は私を国王の座から引きずり降ろし貴族を中心とした貴族の為の国を作るつもりだ、平民から搾取し自分達が贅を尽くす為の国をな、私は断じてその様な事を許すつもりは無い!民を蔑ろにして何が国だ!そんな連中に討たれる訳にはいかない!どうか皆の力を私に貸して欲しい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ