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149 玄武

爆発で全身が粉々になっても再生できる程の生命力、加えてあの厄介な触手だ、鬼神化していない今の俺の攻撃力ではブーチを倒す事は難しい。


「太陽が有るって事はこの世界にも宇宙はある筈だ、それなら….」


「どうした?突然空を眺めて訳のわからない事を呟いて、絶望でおかしくなってしまったか?」


VRMMOの世界でスライムと云うモンスターがいた、大半のゲームで雑魚モンスターの代表格とされるお馴染みのモンスターだ。


「スライムって知ってるか?さっきのお前を見て思い出したんだ、お陰でお前を倒す方法を思いつけた」


「スライム?何の事か知らないが私を倒せる方法などある筈がない、まだ分かっていない様だな」


VRMMOでは時折膨大な数のスライムが発生し期間中の討伐数を競うイベントが催されていた、そのイベントで上位に名を連ねていたプレイヤーの殆どは魔法使い達だ、彼らの使う格下のモンスターを異次元に吹き飛ばす広範囲即死魔法の殲滅スピードには俺の様な近接職はどう足掻いても追いつかなかった。


「あの時は魔法使い達が疎ましく思えたけどまさか感謝する時が来るとはな、ブーチ、サヨナラだ、お前の事は忘れるまでは忘れないよ、達者でな」


「さっきから訳の分からない事をブツブツと…私を馬鹿にしているのか!?」


激昂したブーチが高速で俺との距離を詰める、動きは早いが何の捻りもない直線的な動き、これならアノ技を直接叩き込む事が出来る。


「宇宙旅行に行って来い!『玄武』!!!」


咲夜の刃から放たれた紫色のオーラが亀の形に変化する、俺目掛けて突進していたブーチと亀が激突する。


「な…何をした!?身体が…身体が動かぬ!?」


「自分の再生力を過信したな、避けようと思えば避ける事だって出来た筈だ、お前の傲慢さが敗因になった」


「五月蝿い!私はまだ負けていない!くっ…この…動け!」


「無駄だ、今のお前の身体は普段の1000倍程の重量が掛かっている、言葉を出せるだけでも大したものだ」


最上位剣スキルの1つである玄武、命中した対象の重量を操る事が出来るスキルだ。


「俺も詳しい事は知らないけど今お前に掛かっている力は引力って力だ、地面がお前の事を好きになって離してくれないって状態だと思え」


「舐めるなぁぁぁぁ!」


ブーチの全身からギチギチと筋肉繊維の切れる音が聴こえてくる、力に任せて無理矢理動こうとした反動だろう。


「無理するなよ、暑苦しい男は嫌われるぞ?ほら、地面もお前の事が嫌いになったみたいだ、今から斥力って力でお前にどこかへ行ってもらうってさ」


地面に縫い付けられた様になっていたブーチの身体がほんの一瞬自由になる、その直後ブーチは猛烈な勢いで空へ向かって弾け飛んで行った。


「せっかちなヤツめ、宇宙旅行に行くのに別れの言葉も無いなんて…そういえばこの世界の宇宙ってどうなっているんだろ?」


玄武の効果を引力から斥力に切り替えブーチをこの惑星の外、つまり宇宙空間まで吹き飛ばした、一応太陽の方角へ飛ばしたので運が良ければ太陽の炎で燃え尽きる事が出来るが最悪その命の尽きるまで宇宙空間を孤独に彷徨う事になるかも知れない、これからブーチがどうなるかは神様にだってわからないだろう。

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